ビジネスモデル特許とは何か(1)
「ビジネスモデル特許」という言葉は、米国では1980年代から用いられるようになりましたが、日本でも2000年前後から特許される例が出てきました。
その語感から、新しく有効なビジネス方法が皆特許を受けられるような誤解が広まったこともあったようです。
単なるビジネス方法では特許を受けることはできないのですが、では、どのようなビジネスモデルが特許を受けることができるのでしょうか。
クラウドの発達によって少額の資金でIT起業できるようになった今こそ、もう一度押さえておくべきと思います。
1.そもそも特許とは何か?
ビジネスモデル特許を理解していただくために、まず特許とは何か、について簡単に説明します。
特許法第2条第1項には、この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう、と定められています。
さらに、第29条第1項柱書には、産業上利用することができる発明をした者は、(中略)、その発明について特許を受けることができる、と定められています。
つまり「産業場利用することができる」「自然法則を利用した技術的思想の創作」が特許の対象です。
その「創作」の対象は、「物」、「方法」、「物を生産する方法」の3つです。
特許権の及ぶ範囲は、「物」についてはその物の生産、使用、譲渡等、「方法」についてはその方法の使用、「物を生産する方法」についてはその方法の使用のほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等となっています。
ではビジネス上のアイデアは、「物」、「方法」、「物を生産する方法」のうちどれを通じて特許を受けることができるのでしょうか。
コンピューターのハードウエアが「物」であることは、理解しやすいと思います。
では、ソフトウエアは「物」なのでしょうか、それとも「方法」なのでしょうか。
第2条第3項第1号には、物(プログラム等を含む。以下同じ。)とされています。
プログラムとはソフトウエアを構成する部品のようなもので、複数のプログラムが集まってソフトウエアを構成しているので、ソフトウエアは特許法上は「物」と考えてよいと思います。
2.特許庁の見解
2000年10月に、特許庁は「ビジネス方法の特許」について、以下のような見解を発表しました。
(1)平成10年7月、米国において「『ビジネス方法』に該当するからといって直ちに特許にならないとは言えない」とする判決が出されたことなどを契機として、ビジネス方法の特許が注目をされている。
(2)背景には、情報技術(IT)の発達がある。
ITの進歩により、ソフトウェアの応用可能性が広がってきた結果、ビジネス上のアイデアを汎用コンピュータや既存のネットワークを利用して実現する事例が多く見られるようになってきた。(別掲図参照)
ソフトウェア特許自体は、今日ビジネス方法の特許と呼ばれているものも含め、以前より存在していたが、広告、流通、金融その他のサービス分野などこれまで特許制度との関係が希薄であった分野、業種においても、こうした事例が見られるようになってきた。(中略)
(3)このような事例においては、コンピュータやネットワークそのものには技術的特徴が乏しいため、その発明により、どのようなビジネス(アイデア)を実現しようとしているかという側面に注目が集まりがちである。
このため、これらはビジネス方法の特許とも呼ばれている。
(注) 他にビジネス特許、ビジネスモデル特許などと言うこともあるが、ここではビジネス方法の特許という表現に統一する。また、発明という観点から、ビジネス関連発明という表現が用いられる場合もある。
(4)なお、ビジネス方法の特許という言葉から、事業方法や営業方法そのものが特許の対象となったと受け止める場合も少なくない。しかしながら、従来からも「発明」には該当しないとして保護対象ではなかった「人為的取決め」が、新たに特許制度の保護対象となった訳ではない。
そして、ソフトウェア特許の例として、別掲図の特許を挙げています。
続く
その語感から、新しく有効なビジネス方法が皆特許を受けられるような誤解が広まったこともあったようです。
単なるビジネス方法では特許を受けることはできないのですが、では、どのようなビジネスモデルが特許を受けることができるのでしょうか。
クラウドの発達によって少額の資金でIT起業できるようになった今こそ、もう一度押さえておくべきと思います。
1.そもそも特許とは何か?
ビジネスモデル特許を理解していただくために、まず特許とは何か、について簡単に説明します。
特許法第2条第1項には、この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう、と定められています。
さらに、第29条第1項柱書には、産業上利用することができる発明をした者は、(中略)、その発明について特許を受けることができる、と定められています。
つまり「産業場利用することができる」「自然法則を利用した技術的思想の創作」が特許の対象です。
その「創作」の対象は、「物」、「方法」、「物を生産する方法」の3つです。
特許権の及ぶ範囲は、「物」についてはその物の生産、使用、譲渡等、「方法」についてはその方法の使用、「物を生産する方法」についてはその方法の使用のほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等となっています。
ではビジネス上のアイデアは、「物」、「方法」、「物を生産する方法」のうちどれを通じて特許を受けることができるのでしょうか。
コンピューターのハードウエアが「物」であることは、理解しやすいと思います。
では、ソフトウエアは「物」なのでしょうか、それとも「方法」なのでしょうか。
第2条第3項第1号には、物(プログラム等を含む。以下同じ。)とされています。
プログラムとはソフトウエアを構成する部品のようなもので、複数のプログラムが集まってソフトウエアを構成しているので、ソフトウエアは特許法上は「物」と考えてよいと思います。
2.特許庁の見解
2000年10月に、特許庁は「ビジネス方法の特許」について、以下のような見解を発表しました。
(1)平成10年7月、米国において「『ビジネス方法』に該当するからといって直ちに特許にならないとは言えない」とする判決が出されたことなどを契機として、ビジネス方法の特許が注目をされている。
(2)背景には、情報技術(IT)の発達がある。
ITの進歩により、ソフトウェアの応用可能性が広がってきた結果、ビジネス上のアイデアを汎用コンピュータや既存のネットワークを利用して実現する事例が多く見られるようになってきた。(別掲図参照)
ソフトウェア特許自体は、今日ビジネス方法の特許と呼ばれているものも含め、以前より存在していたが、広告、流通、金融その他のサービス分野などこれまで特許制度との関係が希薄であった分野、業種においても、こうした事例が見られるようになってきた。(中略)
(3)このような事例においては、コンピュータやネットワークそのものには技術的特徴が乏しいため、その発明により、どのようなビジネス(アイデア)を実現しようとしているかという側面に注目が集まりがちである。
このため、これらはビジネス方法の特許とも呼ばれている。
(注) 他にビジネス特許、ビジネスモデル特許などと言うこともあるが、ここではビジネス方法の特許という表現に統一する。また、発明という観点から、ビジネス関連発明という表現が用いられる場合もある。
(4)なお、ビジネス方法の特許という言葉から、事業方法や営業方法そのものが特許の対象となったと受け止める場合も少なくない。しかしながら、従来からも「発明」には該当しないとして保護対象ではなかった「人為的取決め」が、新たに特許制度の保護対象となった訳ではない。
そして、ソフトウェア特許の例として、別掲図の特許を挙げています。
続く