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“本家”の許可得ず「ONO消しゴム」 兵庫・小野市観光協会のパロディー版、販売中止に(2)

【前回から続きます】
“本家”の許可得ず「ONO消しゴム」 兵庫・小野市観光協会のパロディー版、販売中止に
大手文具メーカー、トンボ鉛筆(東京)が製造する「MONO消しゴム」のパロディー版「ONO消しゴム」を、兵庫県小野市観光協会が同社の許可を得ずに作り、イベントでの販売を止められていたことが、3日までに分かった。MONO消しゴムの青白黒のストライプ柄は2017年、色彩の登録商標として日本で初めて認められている。
京都府の寺院仏像などをあしらった消しゴムが人気を得ていたことから、同協会は同様のアイテム作りを検討。「MONO」から1文字を取り「ONO」(小野)とすることを思い付いた。製造を依頼した大阪府内の業者は「『MONO』の字体やケースの色を変えれば問題ない。トンボ鉛筆本社にも確認を取った」などと説明。10月に小野市章や観光名所の写真などを印刷した消しゴム2種類千個が納品された。
神戸新聞社がトンボ鉛筆本社に確認したところ、業者からの許可申請がなかったことが判明。小野市はイベントでの消しゴム販売を中止し、業者は全商品代約13万円を同協会に返金した。
2019年11月4日10時07分神戸新聞NEXT

前回は、商標権の侵害を判断する際の「商標」の類否判断基準の3要素のうち、「称呼」について説明しました。

4.観念について
「MONO」からは「一つの」、「単一の」の観念が生じますが、「ONO」から生じる観念は名字や地名の「小野」、「尾野」や、道具の「斧」などであり、非類似と考えらえます。

5.外観について
トンボ鉛筆の「MONO」に係る登録商標と、記事にある色彩のみの登録商標、及び、MONO消しゴムとONO消しゴムの画像を上げてありますが、両者は「同一」なものではありません。
しかし、記事では、業者が「字体やケースの色を変えれば問題ない」と言ったとのことですが、それほど著しく変更しているわけでもありません。
登録商標で「青・白・黒」の構成のものと、「ONO」の「水色・白・黒」は類似と判断されうるとも思えます。

6.最大の問題点
類否を総合的に判断すると微妙なところですが、「MONO」は「著名」と言えるぐらいの登録商標ですから、混同を生じる可能性も高いです。
その上で、最大の問題は、業者が「トンボ鉛筆本社にも確認を取った」と虚偽の報告をしたことです。
企画段階から、トンボ鉛筆と相談していれば、違う展開になったはずです。

と思っていたら、こんな記事が出ました。

小野市観光協「ONO消しゴム」 作り直しを検討
(神戸新聞社11月26日 10:43)
兵庫県小野市観光協会が大手文具メーカー、トンボ鉛筆(東京)の「MONO消しゴム」のパロディー版「ONO消しゴム」を無許可で作った問題で、同協会が同社と協議し、作り直しを検討していることが25日分かった。消しゴム1万個を作り直し、催しなどで無料配布する方向で同社と調整しているという。
同協会は8月、「MONO」ブランドにあやかり、頭の1文字を消した「ONO」(小野)と記した模倣品の販売を計画。だが製造を委託した業者がトンボ鉛筆の許可を得ていなかったことが判明、納品された千個の消しゴムを返品した。
その後、協会に運営補助金を支出する小野市の蓬莱務市長(73)が改めて、ONO消しゴムと同じ製品の再発注を同社側に打診。MONO消しゴムで色彩の登録商標を認められている同社は「同じ物は許可できないが、どんなデザインなら可能か協議している」という。
協会は10種類以上のデザイン案を提示しており、同社が近日中にも回答する見通し。

著名商品のパロディは、まず元ネタに当たるべきです。
この例や、「面白い恋人」の例を忘れないでください。