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お知らせ

2019-03-20
■ ダウンロード違法化法案の国会提出見送り
−問題点はどこか−

 いったんまとまった著作権法の改正案の国会提出が、国会への提出を見送られました。
 この件にについて、簡単な私見を述べます。

1.指摘されていた問題点
 今回の改正案で重要だったのは、海賊版問題です。
 昨年、マンガの海賊版サイトに対するブロッキングが問題となりました。
 海賊版サイトの行為自体は著作権の侵害であり、差止請求の対象となりますが、法的根拠があいまいなままでブロッキングを行うことは、「通信の秘密」の侵害に当たります。
 そこで、法改正を通じて、規制の網の目をさらに細かくして解決しようとしていたわけです。
 改正案では現行法で映画などの動画と音楽に限定されていた違法ダウンロードの対象を、著作権者に無断で公開された漫画や雑誌、小説、写真など全著作物に拡大する、とされていました。
 しかし、違法となる行為の範囲が広すぎたり、刑事罰の範囲が不明確だったりと、なかなか合意が形成されず、特に「スクリーンショットのダウンロードも違法」とされたことが、改正案への不満が高まることにつながりました。
2.対象となる行為についての考え方
 刑事罰の対象は、反復行為に加え、漫画1冊や1話をまるごと保存するなど、売り上げに影響が出るケースに限るべきであり、「原作のまま」「著作権者の利益を不当に害する場合」のダウンロードに限る、などの制約も提案されました。
 これに対し、法案作成側には「限定により、数ページずつ細切れに分割してダウンロードする行為が適法になり、抜け道をふさぐべきとの考え方があります。
 また、対象を動画と音楽に限った現行法下で、摘発例がなく、厳しい条文による違法行為に対する抑止効果によって、著作権が保護される点でも理解を求めています。
 このような経緯がありましたが、結局、一番の権利者である漫画家協会が懸念を示してことの影響が大きく、法案の国会提出が見送られたのです。
3.「創作者」としての自覚が必要
 以前は、自己の作品を不特定多数の公衆に対して発表することには、時間的、金銭的その他様々な「コスト」がかかりました。
 しかし、現在はだれでも、情報通信端末さえ持っていれば、簡単に自己の「表現」を公衆に対して公開することができます。
 「情報発信の大衆化」とでもいうべき事態がすでに常態化しています。
 一方、blogの語源が、「Web上に残される記録」を意味する「Web(ウェブ)」と「log(ログ)」の合成造語「weblog(ウェブログ)」が略されたものであることからもわかるように、情報発信者の大半にとって、自己の表現空間は、「私的空間」として認識されていますが、実際は「私的空間」どころか、一瞬で世界中に公開されているのです。
 話がそれますが、いわゆる「バイトテロ」「バカッター」なども、この認識のずれが原因の一端であると思います。
 現在の技術では、その表現空間において、簡単に他人の「表現」を複写して利用することができます。
 安易な利用を防ぐためには、無体財産権である「知的財産権」が、通常我々が占有することができる「物」と同様に財産的価値があり、自分の「物」を他人が勝手に使うと嫌な気持がするように、他人の「物」も安易に使用してはいけない、という意識を高める必要があります。
 確かに著作権法をあまり厳しくすると、表現行為の自粛につながり、ひいては文化が停滞するという懸念もあります。
 しかし、著作権法が厳しくなることに対し、やみくもに反対するばかりではなく、「守られるべき権利」を尊重し、海賊版利用を恥じる文化を形成する議論も、一方で喚起していくべきだと思います。
 「交換価値のある」著作物を創作するのには、並々ならぬ努力や、長年の鍛錬が必要です。
 その努力と鍛錬の結晶には、相応の対価が支払われるべきであり、無償で利用できる範囲が限定的であるのは当然のことです。
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