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お知らせ

2017-09-12
■ 知的財産権を維持する費用−古いものほど高くなります−

 特許権や商標権などの知的財産権については、取得する際に、費用がかかるのはもちろんですが、維持するにも費用がかかります。
 「知的財産権の維持」の意義とともに、費用について簡単に説明します。
 維持費用を正しく知って、適切に管理して無駄を省くことも大切です。
 なお、今回述べる内容の「費用」はすべて公的費用(いわゆる印紙代)についてで、弁理士費用を含んでおりません。

1.特許権
(1) 特許登録料(維持年金)
 第1年から第3年までの特許料は、通常登録時に支払います。
 1年ごとに支払うこともできますが、通常は3年ごとにまとめて支払います。
 国内出願の請求項の数の平均は、約9です。
 請求項数が9の場合の、第1年から第3年までの特許料は、3,900円/年となります。
 第4年から第6年までは、14,400円/年、第7年から第3年までは、31,300円/年、です。
 ところが、第10年以降は、89,800円/年に跳ね上がります。
(2) 特許法の目的と維持年金
 特許法第1条は、法目的、即ち、発明の保護及び利用を図ることにより発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする旨を規定しています。
 各国の産業の発達は、新規発明の公開による技術の累積的進歩を通じて達成されます。
 新規に発明された技術が公開されないと、同業者間で重複研究・重複投資が行われるという無駄が生じますから、新規技術については積極的に公開されることが、産業政策全体としては望ましいのです。
 しかし、発明者に何ら保護を与えなければ発明の開示促進が図れず、創作意欲も減退します。
 公開された技術の無制限な利用が許されれば、開発費を負担せずに市場に参入することができますから、先行して開発した側が研究開発投資を回収することができません。
 一方、第三者に発明利用の機会を与えないので、発明を公開しても技術の累積的進歩につながりません。
 そこで、特許制度は、発明者に対する独占排他権を付与することにより、発明意欲を促進し、一方その独占排他権を一定期間に限定し、ライセンス制度を設けることで、第三者の利用を図っています。
 登録料が徐々に上がっていくことの理由ですが、この制度趣旨と関係しています。
 特許取得当初は、特許権者は研究開発費の回収時期なので、維持年金も低額となっています。
 しかし、3年ごとに徐々に金額が上がり、10年目からはかなりの高額となります。
 特許権者が、特許製品の売り上げや、ライセンス料などで収入を上げているならば、特許料負担にも耐えることができますが、そうでなければ、維持年金を納付しないことで特許権を消滅させる選択肢もあるのです。
 例えば、マーケットの狭い製品や、価格の低い製品にかかる技術は、大企業にとってはメリットがなくても、中小企業にとっては魅力的な技術かもしれません。
 そういう特許権をうまくマッチングして売ることができればいいのですが、特許権のマーケットは現在十分に開かれているとはいえません。
 そうであれば、特許権者は自分のマーケットと競合しない製品に関する技術について、特許権を手放してしまっても、マーケットでのマイナスはなく、維持経費の節約につながるのです。
(3) 実用新案
 基本的な趣旨は特許制度を同じですが、小発明を保護する実用新案制度は、保護期間も短く、特許よりやや低額となっています。
(4) 意匠
 意匠も「創作物」という点では特許の保護対象である発明と同様ですが、意匠制度の保護対象であるデザインは技術と比較して、累積的進歩という側面が乏しいので、手放すことを促すように維持年金を徐々に高額にする、という制度は採用されていません。
2.商標権
(1) 商標登録料
 商標登録料は、上記の3法と違い、10年が単位となっています。
 ただし、10年分を一度に納付することを望まない何らかの事情がある場合、前記5年分と後期5年分を分納することができます。
 一括納付するより、割高になっています。
(2) 商標法の目的と登録料
 商標法は、商標に蓄積した業務上の信用を保護することにより、取引秩序の維持を通じて健全な産業の発達に寄与し、併せて需要者の利益を保護することを目的としています。
 商標は、現実に使用されることによって出所表示等の機能を発揮し、これにより一定の商標を使用した商品等は必ず一定の出所から流出し、一定の品質等を有することが保証されます。
 また、商標がその機能を発揮することによって、その商標に業務上の信用が蓄積されるのです。
 即ち、商標の諸機能を有効に発揮させることで、商標使用者の業務上の信用が確保され、取引秩序の維持を通じて健全な産業の発達が図られるとともに、適切に商品選択を行うことができるという需要者の利益も保護されます。
 商標法は、取引秩序の維持による健全な産業の発達と、需要者の利益保護を法目的としています。
 商標を保護する趣旨は、「創作物」の保護ではありません。
 「商標」そのものを保護するのではなく、その商標に蓄積した信用を保護することを通じて、「取引秩序」と「消費者(取引者)」を保護しているのです。
 その蓄積には一定の時間を要することから、納付単位が特許等に比べて長くなっています。
 一方「商標」自体の取り扱いですが、たとえそれが「SONY」などもともと何らかの意味を持っているわけではない言葉からなる「創作商標」であっても、「創作物」の価値を保護することはありません。
 特許では原則的に、「発明者」に「特許を受ける権利」が発生し、実用新案や意匠にも同様の権利がありますが、商標法では商標を創作した者への保護規定は設けていないのです。
 「創作商標」であっても、「選択物」の一つでしかありません。
 そこで、すでに使用され、あるいは登録されたことのある商標であっても、登録されなかったり、商標権者が商標権を放棄等してしまえば、他人がその商標を使用、登録することが可能です。
 すでに公表された発明については、特許権者が特許権を放棄したとしても、他人が新たに特許権を取得することはできませんが、これも、保護対象の違いにより、制度の違いが生じているのです。
 「選択物」なので、使用しない商標が商標権を維持していると、新たな事業を起こそうとする者が、その商標を使用することができないという問題が生じます。
 商標権者が3年以上、「登録商標」を「指定商品」に使用していない場合、「不使用取消審判」を請求することもできるのです。
 これは、不使用商標の商標権を消滅させることによって、商標選択の幅を広げるための制度です。
 また、登録10年目で更新するかどうかを検討する商標管理において、更新後に上がる登録料を不使用商標の商標権維持のために納付するのは無駄であると判断すれば、更新を行わない、という判断をすることが妥当です。
 発明にせよ、商標にせよ、登録を行ったということは、それなりに意味や思い入れなどがあるとは思いますが、維持費用を納付するかどうかの判断は、感情を排してビジネスライクに行われるべきものだと思います。
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