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お知らせ

2017-05-19
■ 店舗外観等についての争い−不正競争防止法とトレードドレス−

1.店舗の外観についての争い
(1) 店舗外観の模倣問題
 昨年12月、「珈琲所コメダ珈琲店」に外観などが似ているとして、和歌山市の喫茶店に対し、店舗外観などの使用差し止めを求めた仮処分が認められました。
 また、今年の3月には、すし居酒屋「や台ずし」などを展開するヨシックスが、店の外観がそっくりで客を奪われたとして、すし屋「磯丸すし」を経営するSFPダイニングを相手取り、外観の変更と約471万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴しました。
 弁護士ドットコムニュースによれば、その後磯丸すしは、店舗外観を変更したそうです。
 平成18年には、「まいどおおきに食堂」を運営する株式会社フジオフードシステムが、「ザめしや」を運営する株式会社ライフフーズを不正競争防止法違反で訴えた事件がありました。
 原告は、1審から米国の「トレードドレス」の概念を適用して、店舗外観は「識別性」を有し、「商品表示」機能があることを主張しました。
 1審判決はその点に触れませんでしたが、1審敗訴した原告は2審でもその点を主張し、控訴棄却の判決において、「控訴人は、店舗デザインについての米国法下でのトレードドレスの保護法理を参考にすれば、控訴人店舗外観が営業表示にあたるなどとも主張するところ、同法理を日本法下において直ちに採用ないし斟酌することの適否はともかくとして、本件における店舗外観において最も特徴がありかつ主要な構成要素というべき部分とその相違の程度からすれば、被控訴人店舗外観が控訴人店舗外観全体に類似するとすることはできない」と判示しました。
 つまり、「似ていないから、トレードドレスの法理を採用するかどうかまで審理しません」ということです。
(2) 店舗内装等の模倣問題
 鳥二郎に対し、商標権問題でも争った鳥貴族ですが、店舗内装やユニフォームについても問題視しています。
2.不正競争防止法
 さて、日本では「トレードドレス」制度が採用されていないので、店舗外観、内装、ユニフォームなどを商標権で保護することができないため、そのような問題で営業上の利益を害されたと思ったら、不正競争防止法の適用を求めて提訴することになります。
 適用を求めるのは、主として下記の条文です。
第2条  この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二  自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
 2条1項1号に規定される不正競争は、周知表示混同惹起行為といわれ、要件は以下の通りです。
 @他人のA周知な商品等表示とB類似の表示のC使用等の行為を行いD他人の商品又は営業との混同を生じさせること。
 ここでいう「混同」は、商品や営業の主体について需要者の間で誤認が生じる場合(狭義の混同)に加えて、当該「商品等表示」主体との間で、組織上・経済上なんらかの関連があるという誤認がなされる場合(広義の混同)も含まれます。
 なお、「混同を生じさせる行為」は、「混同が生じるおそれ」があれば足りる、とされています。
 2条1項2号に規定される不正競争は、著名表示冒用行為といわれ、要件は以下の通りです。
 @他人のA著名な商品等表示とB類似の表示のC使用等の行為を行うこと。
 著名表示については、混同は要件となりません。
 著名な商品表示にタダ乗りしようとしただけで、不正競争に該当します。
 そうであれば、商標登録がなくてもパクリを排除できるので、便利な規定のようにも思えます。
 ただし、商標制度との大きな違いは、「事前登録がない」ということです。
 「不正競争」であるとの認定を受けて、排除させるためには、裁判所の判断を仰がなければなりません。
 裁判費用は、商標登録に係る費用に比べてかなり高額となるのが普通です。
 しかも、商標登録が存在すれば、権利の存在を明示して模倣者に警告を行うことができますし、類否判断も蓄積されていますが、不正競争防止法に基づいて警告を行う場合には、過去の裁判例に基づくしかなく、豊富な実例が蓄積されているわけではありません。
3.トレードドレス
 さて、このような争いが増えている中で、日本では採用されていなませんが、「トレードドレス」制度について、どのようなものなのかを、改めて説明します。
 このような形式での商標登録が認められるようになれば、あらかじめ店舗の設計等において模倣を避けるようになり、不必要な争いが減ると思います。
(1) 定義
 @ 本来の定義
  商品を販売するに際して該商品をドレスアップさせるもの、例えば、ラベルの外観、包装紙の外観、包装容器の外観等を意味するものであり、商品自体の形状は含まれていませんでした。
 A 米国の判例における意味、保護範囲の拡張
  現在では、商品形状、さらには、市場において販売されるに際しての商品・役務の全体的外観ないしはイメージまでをカバーするに至っています。
 B まとめ
  市場において販売されるに際しての商品・役務の全体的外観ないしはイメージを意味します。
  具体的には、商品形状、包装容器の形状、商品のディスプレイ、ラベル、包装紙、店舗の外観・内装、レイアウト等が含まれます。
  したがって、立体商標よりも広い概念と言えます。
(2) 米国トレードドレス侵害の要件
 侵害が成立するためには、以下の4点が要件となります。
 @ 本来的に識別力を有していること
 A 又は、使用による識別性を獲得していること
 B 混同のおそれがあること
 C 表示が、非機能的であること
 それぞれを詳しく説明しましょう。
 @ 本来的識別力
  元来文字商標等についての基準です。
  識別力とは、お客が見ただけで、商品・サービスの「出所」を判断することができる機能です。
  独創性の強いデザインほど識別力が認められ易い傾向があります。
  トレードドレス=商品の包括的イメージなので、部分で判断せずに、全体として識別力の有無を判断します。
 A 使用による識別性
  上記の、「本来的識別力」を有するトレードドレスについては、使用による識別性の有無を検討する必要はありません。
  需要者が、原告のトレードドレスから商品・サービスが一定の出所から来たものと認識できるかどうかを、以下の証拠により判断します。
   ・需要者による証言
   ・市場調査
   ・使用期間、態様
   ・広告期間、費用
   ・販売数量、売り上げ
   ・販売店の場所、数
   ・実際の混同
   ・被告の模倣の意図
 B 混同のおそれ
  以下のファクターを考慮して判断します。
   ・被告のトレードドレスの識別力の強さ
   ・原告、被告のトレードドレスの類似性
   ・市場での商品、役務の近似性
   ・実際の混同
   ・被告の悪意
   ・需要者の洗練度
   ・被告のトレードドレスが実際の混同を生じずに使用されていた期間
   ・価格等の購入時に需要者が商品、役務に対して払う注意の程度を示すもの
   ・商品、役務の流通チャンネル
   ・対象となる需要者等
  混同の「おそれ」なので、実際に混同が生じたかどうか、だけを問うわけではありません。
 C 非機能的表示
  当該商標が製品の使用や目的に必須のものであるか、又は製品の品質やコストに影響を与えるものであるかによって、機能的か否かを判断します。
  サプリメントなどには、栄養機能表示がされていることがありますが、そのような表示でないことが求められます。
  特許取得の事実は、機能的であるとの強力な証拠となります。
  主として特許との抵触を回避するための要件です。
  特許権との存続期間の差異を考慮します。
  トレードドレス全体として判断します。
   ・1999 年の改正で主登録簿に連邦登録されているトレードドレスに対する侵害の場合には本要件は不要となりました。
4.外国での登録例
 最後に、外国における登録例をいくつか挙げます。 内装と制服は、米国の登録例で、外装はEUにおける登録例です。
 なお、トレードドレスに関しては、登録されていないものでも、侵害が認められる場合があるので、商標法と不正競争防止法の両方の性格を併せ持つ、ということができると思います。
(1) 登録例(内装)
 @ アップルストア
 A チポレ・メキシカン・グリル
 B ポットベリー・サンドイッチ
(2) 登録例(制服)
 チッペンデール(ラスベガス常駐の男性ストリップショー)
(3) 登録例(外装)
 BP(旧名:英国石油)
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