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お知らせ

2015-08-06
■ 商標の「周知性」について(1)−周知性が問題とされる局面−

 商標法には「周知性」を要件とする規定がいくつかありますが、条文上は同じような規定であっても、それぞれの規定の趣旨が異なるため、規定ごとに整理して説明します。
1.3条2項(登録要件)
 商標法3条は、登録要件について定めています。
 原則として、出願に係る商標がその指定商品又は役務との関係で「識別力」や「独占適応性」を有しない場合には、登録を受けることができない、という規定です。
 1項で定めた原則の例外が、2項です。
 識別力のない商標であっても、使用により出所表示機能等を獲得したものであれば、登録を受け得る、という救済規定です。
 条文は以下の通りです。
    第3条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
    一 その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
    二 その商品又は役務について慣用されている商標
    三 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。中略)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
    四 ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
    五 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
    六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
    2 前項第3号から第5号までに該当する商標であっても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。
 審査基準では、2項の適用について、以下のように規定しています。
    1.本項でいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」とは、特定の者の出所表示として、その商品又は役務の需要者の間で全国的に認識されているものをいう。
    2.(1) 本項を適用して登録が認められるのは、出願された商標(動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標及び位置商標については、願書に記載した商標、商標の詳細な説明又は物件から特定される商標。以下「出願商標」という。)及び指定商品又は指定役務と、使用されている商標(以下「使用商標」という。)及び商品又は役務とが同一の場合のみとする。(後略)
 識別力のない商標であっても、使用により出所表示機能等を獲得したものであれば、等お録を受け得る、という救済規定です。
 それだけに、「全国レベルの周知性」という高いハードルが設けられています。
 以下の事項を勘案して判断します。
 @ 実際に使用している商標並びに商品又は役務
 A 使用開始時期、使用期間、使用地域
 B 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)
 C 広告宣伝の方法、回数及び内容
 D 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容
 E 需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果
 また、使用された結果全国レベルの周知性を獲得した商標と同一で、使用された商品・サービスと出願に係る指定商品・役務が同一でなければ、2項は適用されないことになっています。
 なお、1項1号(普通名称)、2号(慣用名称)は、たとえ全国レベルの周知性を獲得しても、一私人の独占にはなじまないので、2項の適用がありません。
 6号にも2項の適用がありませんが、それは、もしその商標が全国レベルの周知性を獲得すれば、そもそも6号に該当しなくなるからです。
 したがって、2項の適用と同様の主張が認められれば、登録を受けることができます。
 6号に該当するものの例は以下の通りです。
 @ 地模様(例えば、模様的なものの連続反覆するもの)のみからなるもの。
 A 標語(例えば、キャッチフレーズ)。
 B 商慣習上、例えば、「Net」、「Gross」等のように、その商品又は役務の数量等を表示する場合に用いられる文字等。
 C 現元号をあらわす「平成」の文字。
 D 事業者の設立地・事業所の所在地、指定商品の仕向け地・一時保管地若しくは指定役務の提供に際する立ち寄り地(港・空港等)等(以下「事業者の設立地等」という。)の国内外の地理的名称を表示する商標又は事業者の設立地等として一般に認識される国内外の地理的名称を表示する商標(第3条第1項第3号の規定に該当しない場合であっても)。
2.4条1項10、15、19号(登録要件)
 商標法4条も、登録要件について定めていますが、識別力や独占適応性を備えている商標であっても、他の商標との関係で登録を受けられないものを定めています。
 10号、15号、19号が、周知性に関わる規定です。
 周知性のある先行商標を引用して拒絶される場合の規定です。
 条文は以下の通りです。
    第4条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
    十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
    十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第10号から前号までに掲げるものを除く。)
    十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)
 まず、10号です。
 出願に係る商標が、登録はされていないけれど、周知な商標に類似し、その指定商品・役務も、周知商標が使用されている商品・サービスに類似している場合には、登録を受けることができない、という規定です。
 4条の11号では、先出願登録済みの商標に対して、同様の規定がありますが、10号の場合は登録されていないのに登録を排除できる規定なので、一定レベル周知性が要求されることになります。
 審査基準は以下のようになっています。
    1.本号でいう「需要者の間に広く認識されている商標」には、最終消費者まで広く認識されている商標のみならず、取引者の間に広く認識されている商標を含み、また、全国的に認識されている商標のみならず、ある一地方で広く認識されている商標をも含む。
 未登録であっても全国レベルの周知性を獲得している商標、そして、ある一地方で著名である商標と同一又は類似で、その使用商品・サービスと出願に係る指定商品・役務が同一又は類似であれば、登録を受けることができません。
 次に15号です。
 かっこ書きで10号との重複適用が排除されていますので、出願に係る商標が、既存の商標と「非類似ではあるが混同を生ずる(おそれのある)」場合には、登録を受けることができない、という規定です。
 「混同を生じる(おそれ)」が要件なので、周知性を画一的に判断するわけではありませんが、非類似でも混同を生じるということは、引用例はかなりの著名性を有している場合が多いです。
 審査基準では以下のようになっており、既存の商標の使用者自体と出所の混同が生じる場合(狭義の混同)のみならず、その使用者の関連企業等と出所の混同を生じる場合(広義の混同)においても、適用されます。
 指定商品・役務の類否は問われません。
    1.本号において「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある場合」とは、その他人の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合のみならず、その他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合をもいう。例えば、以下のような場合が挙げられる。
    (1) 事業者甲が自己の業務に係る商品Gに商標?を使用し、これが全国的に周知になっている場合において、事業者乙が自己の業務に係る商品X(商品Gとは非類似でかつ、商品の生産者、販売者、取扱い系統、材料、用途等の関連性を有しないものであるとしても)に商標?を使用したときに、その商品Xに接する需要者が、たとえ、甲の業務に係る商品であると認識しなくても、商品Xが甲の子会社等の関係にある事業者甲′の業務に係る商品であると誤認し(実際には存在しない甲′が出所として想定され)、商品の出所について混同する場合。
 そして19号です。
 かっこ書きで10号、15号との重複適用が排除されています。
 日本国内では必ずしも周知性を獲得していなくてもよいですが、外国で周知商標類似し、不正の目的で使用するものが該当します。
 何らかの周知性のないものに「タダ乗り」しようとすることは原則的にありませんが、非類似、非混同の場合に登録されてしまうことを防ぐための規定です。
 審査基準では以下のようになっており、「不正の目的」を判断する際も、その既存の商標が少なくともどこかの外国で周知であることが勘案されます。
    1.例えば、次のような商標は、本号の規定に該当するものとする。
    (イ) 外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていないことを奇貨として、高額で買い取らせるために先取り的に出願したもの、又は外国の権利者の国内参入を阻止し若しくは代理店契約締結を強制する目的で出願したもの。
    (ロ) 日本国内で全国的に知られている商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではなくても出所表示機能を稀釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもって出願したもの。
    2.本号でいう「需要者の間に広く認識されている商標」には、最終消費者まで広く認識されている商標のみならず、取引者の間に広く認識されている商標を含むものとする。
    3.本号でいう「外国における需要者の間に広く認識されている商標」は、当該国において周知なことは必要であるが、必ずしも複数の国において周知であることを要しないものとする。また、我が国における周知性も要しないものとする。
    4.「不正の目的」の認定にあたっては、例えば、以下の(イ)ないし(ヘ)に示すような資料が存する場合には、当該資料を充分勘案するものとする。
    (イ) その他人の商標が需要者の間に広く知られている事実(使用時期、使用範囲、使用頻度等)を示す資料
    (ロ) その周知商標が造語よりなるものであるか、若しくは、構成上顕著な特徴を有するものであることを示す資料
    (ハ) その周知商標の所有者が、我が国に進出する具体的計画(例えば、我が国への輸出、国内での販売等)を有している事実を示す資料
    (ニ) その周知商標の所有者が近い将来、事業規模の拡大の計画(例えば、新規事業、新たな地域での事業の実施等)を有している事実を示す資料
    (ホ) 出願人より、商標の買取り、代理店契約締結等の要求を受けている事実を示す資料
    (ヘ) 出願人がその商標を使用した場合、その周知商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあることを示す資料
    5.本号の適用に当たっては、@及びAの要件を満たすような商標登録出願に係る商標については、他人の周知な商標を不正の目的をもって使用するものと推認して取り扱うものとする。
    @ 一以上の外国において周知な商標又は日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものであること。
    A その周知な商標が造語よりなるものであるか、若しくは、構成上顕著な特徴を有するものであること。
3.7条の2(登録要件・地域団体商標
 地城団体商標制度とは、所定の組合等に限って、その構成員に使用をさせる商標であってその商標が使用をされた結果、所定の周知性を獲得したものについて、本来であれば商標法3条1項第3号に該当して登録を受けることができない、地域の名称と商品の普通名称等からなる文宇商標について、商標登録を受けることができる制度のことです。
 地域ブランドが周知性に便乗しようとする他者が同じブランド名を地域外の商品等に使用し、その地域ブランドの信用が毀損される揚合がありますが、この制度ができるまでは、商標登録を受けて独占権を獲得することができず、適切に保護することができませんでした。
 そこで、地域に密着した所定の団体に限り、地域ブランド名の商標登録を受けることができるようにし、地域ブランドを保護するようにしたのです。
 条文は以下の通りです。
    第7条の2 事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き、当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)、商工会商工会議所若しくは特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人又はこれらに相当する外国の法人(以下「組合等」という。)は、その構成員に使用をさせる商標であって、次の各号のいずれかに該当するものについて、その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、第3条の規定(同条第1項第1号又は第2号に係る場合を除く。)にかかわらず、地域団体商標の商標登録を受けることができる。
    一 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
    二 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
    三 地域の名称及び自己若しくはその構成員の業務に係る商品若しくは役務の普通名称又はこれらを表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字並びに商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字であって、普通に用いられる方法で表示するもののみからなる商標
    2 前項において「地域の名称」とは、自己若しくはその構成員が商標登録出願前から当該出願に係る商標の使用をしている商品の産地若しくは役務の提供の場所その他これらに準ずる程度に当該商品若しくは当該役務と密接な関連性を有すると認められる地域の名称又はその略称をいう。
 地城団体商標の場合、上述した3条2項レベル(全国的)の周知性までは要求されませんが、本来であれば商標法3条1項3号に該当して登録を受けることができないものですから、地域の名称と商品の普通名称等との間に密接な関係が要求されるなど、細かい規定が設けられています。
 審査基準では以下のようになっており、指定商品・役務の内容によって、要求される周知性のレベルが異なっています。
    A.「需要者の間に広く認識されている」について
     商品又は役務の種類、需要者層、取引の実情等の個別事情によるが、全国的な需要者の間に認識されるには至っていなくとも、例えば、商品又は役務の種類及び流通経路等に応じた次の(1)ないし(4)の類型における一定範囲の需要者に認識されていることを要する。
     なお、「肉牛」、「石材」等、主たる需要者層が取引者である商品又は役務については、需要者には、最終消費者のみならず、取引者も含まれることに留意する。
    (1) 比較的低価格であり、また、日常的に消費されること等から、比較的広範囲の地域で販売され得る商品について
    (例) 比較的低価格で日常的に消費される野菜、米、食肉、水産食品、加工食品需要者の範囲は比較的広範囲に及ぶと考えられるが、本条第2項にいう「地域」(以下「地域」という。)が属する都道府県を越える程度の範囲における多数の需要者の間に広く認識されていれば足りることとする。
     また、国や地方公共団体等の公的機関が当該商品を表彰する等の優良商品とし選定した事実等があれば、それらを十分に勘案する。
     なお、高額で市場取引される野菜や果物等比較的生産量が少ない商品である等、その商品又は役務に応じた特段の取引の実情が存在する場合には、後記(2)又は(3)を確認する。
    (2) 高価であること等から、生産地では販売されず、主として大消費地で販売され尽くすような商品について
    (例) 高額で市場取引される高級魚等
     主たる需要者の範囲は大消費地等の大都市に限定されるなど、地域的な広がりが限定的と考えられる場合には、少なくとも販売地が属する一都道府県における多数の需要者の間に広く認識されていることを要する。
     また、特に、大消費地における宣伝広告やメディアによる紹介の状況、業界紙や専門雑誌等における宣伝広告や紹介記事の状況等について十分に勘案する。
    (3) 主として生産地でのみ販売される地産地消の商品やその地でのみ提供される役務について
    (例) 伝統野菜、消費期限が短い生菓子
     需要者の地域的な広がりは限定的と考えられることから、少なくとも地域が属する一都道府県における多数の需要者の間に広く認識されていることを要する。
     また、特に、商品の産地、販売地又は役務の提供地等において、当該地を訪れる観光客用に配布される観光案内、観光地図等による宣伝広告の状況、来訪者数、来訪者へのアンケート調査結果等について十分に勘案する。
    (4) 工芸品等の商品について
    (例) 当該地域で生産される箪笥、壺
     需要者の地域的な広がりは限定的と考えられることから、少なくとも地域が属する一都道府県における多数の需要者の間に広く認識されていることを要する。
     また、経済産業大臣により伝統的工芸品として指定されている事実等があれば、それを十分に勘案する。
     なお、日常的に使用される食器や箸等の商品については、主たる需要者層が一般消費者であることから、上記(1)を確認する。
    B.テレビ放送、新聞、インターネット等のメディアを利用し、大規模に宣伝広告及び販売等を行っている場合について
    (例) 全国放送のテレビショッピング番組を利用して販売する商品
     テレビ放送等を利用し大規模に宣伝広告及び販売を行っている場合については、需要者は広範囲に及ぶと考えられることから、地域、商品の販売地又は役務の提供地における需要者を含め、複数の都道府県における相当程度の需要者の間に広く認識されている実情について考慮する。
     特に、テレビ放送、ウェブサイト等による宣伝広告又は商品等の紹介番組の状況、ウェブサイトにおける販売ランキング・販売先・販売数量、ウェブサイトの種類(大手ショッピングサイト、出願人のサイト等)等の事実について十分に勘案する。
     そして、上記6.の各類型に該当する商品又は役務について、テレビ放送等を利用した販売等を行っている場合には、各類型における多数の需要者の間に広く認識されているか、又は、地域、商品の販売地若しくは役務の提供地における需要者を含めた複数の都道府県における相当程度の需要者の間に広く認識されている実情について考慮する。
4.32条(先使用権):抗弁権
 未登録であっても、他人の出願前から現実に使用され周知となり、既に業務上の信用が化体している商標に認められる既得権で、未登録周知商標の保護規定です。
 その趣旨から、単に使用しているだけでは足りず、他人の商標登録出願時に周知性を獲得していることが必要です。
 条文は以下の通りです。
    第32条 他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際(中略)現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。
    第32条の2 他人の地域団体商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。
 登録要件ではないので、審査基準には掲載されていません。
 そこで、条文解釈の基本書である「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」を宰相すると、以下のように記載されています。
 ここに「広く認識された」範囲は、4条1項10号の範囲と同様であると考えられるが、これを要件としたのは、相当程度周知でなければ保護に価する財産権的価値が生じないものとみられるからである。また他人の商標登録出願後における自己の当該商標の使用の継続を要件としたのも、長く使用を中断すれば、その間に保護すべき信用が減少しあるいは消滅すると考えたからである。
 ただし、「逐条解説」では、4条1項10号並みの周知性(全国レベル)を必要とする、とされていますが、実際の裁判例では幅があります。
 なお、地域団体商標に対しての先使用権の場合には、地域団体商標自体がそもそも限定的な周知性しか獲得していないものなので、使用の事実だけで足りると規定しています。
 周知性を要件とする商標法の規定について、一通り説明しました。
 次回は、裁判例を通じて、実際の運用について述べる予定です。
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