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お知らせ

2015-07-08
■ 先行ビジネスの模倣について(2)−もしトレードドレスが認められていたら−

1.鳥貴族vs,鳥二郎と、まいどおおきに食堂vs.ザめしや
 先月触れた、「鳥貴族」の「鳥二郎」への告訴に先立ち、平成18年に、「まいどおおきに食堂」を運営する株式会社フジオフードシステムが、「ザめしや」を運営する株式会社ライフフーズを不正競争防止法違反で訴えた事件がありました。
 先月も引用した例ですが、原告は、1審から米国の「トレードドレス」の概念を適用して、店舗外観は「識別性」を有し、「商品表示」機能があることを主張しました。
 1審判決はその点に触れませんでしたが、1審敗訴した原告は2審でもその点を主張し、控訴棄却の判決において、「控訴人は、店舗デザインについての米国法下でのトレードドレスの保護法理を参考にすれば、控訴人店舗外観が営業表示にあたるなどとも主張するところ、同法理を日本法下において直ちに採用ないし斟酌することの適否はともかくとして、本件における店舗外観において最も特徴がありかつ主要な構成要素というべき部分とその相違の程度からすれば、被控訴人店舗外観が控訴人店舗外観全体に類似するとすることはできない」と判示しました。
 つまり、「似ていないから、トレードドレスの法理を採用するかどうかまで審理しません」ということです。
 鳥貴族の鳥二郎への訴えに、そのような視点が示されているかどうかは分かりませんが、「トレードドレス」という言葉を使っているかどうかにかかわらず、同じような視点で鳥二郎を追及しているように思います。
2.トレードドレス
 さて、日本では採用されていない「トレードドレス」制度ですが、どのようなものなのかを、以下に説明します。
(1) 定義
 @ 本来の定義
 商品を販売するに際して該商品をドレスアップさせるもの、例えば、ラベルの外観、包装紙の外観、包装容器の外観等を意味するものであり、商品自体の形状は含まれていませんでした。
 A 米国の判例における意味、保護範囲の拡張
 現在では、商品形状、さらには、市場において販売されるに際しての商品・役務の全体的外観ないしはイメージまでをカバーするに至っています。
 B まとめ
 市場において販売されるに際しての商品・役務の全体的外観ないしはイメージを意味します。
 具体的には、商品形状、包装容器の形状、商品のディスプレイ、ラベル、包装紙、店舗の外観・内装、レイアウト等が含まれます。
 したがって、立体商標よりも広い概念と言えます。
(2) 米国トレードドレス侵害の要件
 侵害が成立するためには、以下の4点が要件となります。
 @ 本来的に識別力を有していること
 A 又は、使用による識別性を獲得していること
 B 混同のおそれがあること
 C 表示が、非機能的であること
 それぞれを詳しく説明しましょう。
 @ 本来的識別力
 元来文字商標等についての基準です。
 識別力とは、お客が見ただけで、商品・サービスの「出所」を判断することができる機能です。
 独創性の強いデザインほど識別力が認められ易い傾向があります。
 トレードドレス=商品の包括的イメージなので、部分で判断せずに、全体として識別力の有無を判断します。
 例えば、乳酸菌飲料についての造語商標「ヤクルト」は本来的識別力を有しています。
 A 使用による識別性
 上記の、「本来的識別力」を有するトレードドレスについては、使用による識別性の有無を検討する必要はありません。
 需要者が、原告のトレードドレスから商品・サービスが一定の出所から来たものと認識できるかどうかを、以下の証拠により判断します。
  ・需要者による証言
  ・市場調査
  ・使用期間、態様
  ・広告期間、費用
  ・販売数量、売り上げ
  ・販売店の場所、数
  ・実際の混同
  ・被告の模倣の意図
 例えば、乳酸菌飲料についてのヤクルトの「立体容器」の立体商標は、本来的識別力を有していませんが、使用により識別力を獲得したとして、登録を受けています。
 B 混同のおそれ
 以下のファクターを考慮して判断します。
  ・被告のトレードドレスの識別力の強さ
  ・原告、被告のトレードドレスの類似性
  ・市場での商品、役務の近似性
  ・実際の混同
  ・被告の悪意
  ・需要者の洗練度
  ・被告のトレードドレスが実際の混同を生じずに使用されていた期間
  ・価格等の購入時に需要者が商品、役務に対して払う注意の程度を示すもの
  ・商品、役務の流通チャンネル
  ・対象となる需要者等
 混同の「おそれ」なので、実際に混同が生じたかどうか、だけを問うわけではありません。
 C 非機能的表示
 当該商標が製品の使用や目的に必須のものであるか、又は製品の品質やコストに影響を与えるものであるかによって、機能的か否かを判断します。
 サプリメントなどには、栄養機能表示がされていることがありますが、そのような表示でないことが求められます。
 特許取得の事実は、機能的であるとの強力な証拠となります。
 主として特許との抵触を回避するための要件です。
 特許権との存続期間の差異を考慮します。
 トレードドレス全体として判断します。
  ・1999 年の改正で主登録簿に連邦登録されているトレードドレスに対する侵害の場合には本要件は不要となりました。
3.もし日本にトレードドレス制度があったら
(1) 鳥貴族vs,鳥二郎裁判の争点への当てはめ
 検討すべき点を先月同様ピックアップしてみます。
 @ 「ジャンボ焼鳥」、「じゃんぼ焼鳥」は、トレードドレスか?
 A 「うぬぼれ生」、「プライド生」は、トレードドレスか?
 B 木材を使った内装、店員の黒色Tシャツはトレードドレスか?
 C 看板→トレードドレスか?
 D 「均一」のメニューはトレードドレスか?
 それぞれ詳しく検討してみましょう。
 @ 「ジャンボ焼鳥」、「じゃんぼ焼鳥」
  @)本来的識別力 ×
  A)使用による識別性 △
  B)混同のおそれ △(∵他に同様の使用が多い)
  C)非機能的表示 ×
 A 「うぬぼれ生」、「プライド生」
  @)本来的識別力 △
  A)使用による識別性 △
  B)混同のおそれ △(∵観念のみ類似)
  C)非機能的表示 ○
 B 内装、制服
  A内装
  @)本来的識別力 △
  A)使用による識別性 △
  B)混同のおそれ △
  C)非機能的表示 ○
  A制服
  @)本来的識別力 △
  A)使用による識別性 △
  B)混同のおそれ △
  C)非機能的表示 ○
 D 「均一」のメニュー
  @)本来的識別力 ×
  A)使用による識別性 △
  B)混同のおそれ △
  C)非機能的表示 ×
(2) 類否判断
 鳥貴族の追及点は、トレードドレスとして成立するかどうか、微妙なところです。
 ただ、トレードドレスとして成立すれば、「類似」する部分はあるようにも思えます。
 特に内装は、鳥貴族側の識別力が高い上に、類似しているように思えます。
4.米国での登録例
 最後に、米国における登録例をいくつか挙げます。
 なお、トレードドレスに関しては、登録されていないものでも、侵害が認められる場合があるので、商標法と不正競争防止法の両方の性格を併せ持つ、ということができると思います。
 鳥貴族の例と対比するために、内装と制服について挙げます。
 実線の部分が、登録を受けた部分です。
(1) 登録例(内装)
 @ アップルストア
 A チポレ・メキシカン・グリル
 B ポットベリー・サンドイッチ
(2) 登録例(制服)
 チッペンデール(ラスベガス常駐の男性ストリップショー)
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