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お知らせ

2015-03-09
■ 地域ブランド育成に活用できる知的財産権−地域産品の付加価値アップのために−

 地域産品の付加価値を、加工によって上げる場合、設備投資が必要です。
 まず、「地域ブランド化」によって付加価値を上げていくことを考えてみてはいかがでしょう。
1.種苗法
(1) 制度の内容
 ・新品種の育成者が、栽培用植物及びキノコの新品種を利用するための制度。
 ・利用とは、種苗、収穫物及び一定の加工品の、生産・譲渡等をいう。
(2) 保護期間
 @ 原則登録日から25年
 A 果樹、林木、観賞樹等木本性植物については30年
 B 登録期間経過後は「普通名称」となる(延長制度はない)。
(3) 出願手続き
 @ 出願料(代理人費用を含まない)
   普及指導員、営農指導員が手伝うことが多い。
  ・1件につき47,200円。
 A 出願時提出書類
  @)願書
  A)説明書
  ・植物の種類、品種の名称に加え、形質(形状、色、耐病性等)及び特性等を記載する。
 B 出願時提出物
  @)写真
  A)種子又は種菌
(4) 審査手続き
 @ 特性審査(2〜3年を要する):従来種との相違点
 A 未譲渡性審査
 B 名称の適切性審査(出願時・登録時)
(5) 年間登録料
  登録後の年度  登録料
  1〜3年目    各年6,000円
  4〜6年目    各年9,000円
  7〜9年目    各年18,000円
  10〜30年目  各年36,000円
(6) 流通の際、表示義務が生ずる。
2−1.商標法・通常の商標
(1) 権利の内容
  ・商標権者が、指定商品・サービスについて、登録商標を使用する権利を占有し、類似範囲の他人の使用を禁止する(私権)。
  ・自己又はライセンシーが3年以上使用しないと、不使用取消し審判の対象となる。
  ・品質保証機能は、期待されるが、保証するものではない。
(2) 保護期間(団体商標・地域団体商標も同じ)
 @ 登録日から10年
 A 更新可能(10年単位)
(3) 出願手続き
 @ 出願料(代理人費用を含まない)
  ・1件につき3,400円+
   指定商品・サービスの区分の数×8,600円
   (計12,000円〜)。
 A 出願時提出書類
  ・願書
   出願に係る商標、指定商品・サービスを記載する。
(4) 審査期間
   約6カ月
   早期審査制度あり
(5) 登録費用(10年分)
   1回目:商品・サービス1区分につき37,600円
   2回目以降:1区分につき48,500円
   分割納付も可能。
2−2.商標法・団体商標(2−1.との相違点のみ)
(1) 権利の内容
 @ 主体
  ・一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人。
 A 客体
  ・自己又はその構成員に使用をさせる商標(構成員の使用があれば、自己の使用なしでも不使用取消し審判の対象とはならない)。
  ・地域の名称が入る必要はないので、独自の名称を使用できる。
 B 一般の商標との違い
  ・構成員に使用させる場合ライセンス契約がなくても「使用」と認められる以外は、一般商標と同じ。
(2) 出願手続き
 A 出願時提出書類
  @)願書
  ・団体商標としての出願であることを記載する。
  A)団体商標特有の添付書類
  ・登記事項証明書
2−3.商標法・地域団体商標(2‐1.との相違点のみ)
(1) 権利の内容
 @ 主体
  ・事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き、当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)、商工会、商工会議所若しくは特定非営利活動促進法第2条第2項 に規定する特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)又はこれらに相当する外国の法人。
 A 客体(以下のすべてを満たす)
  @)自己又はその構成員に使用をさせる商標
  A)地域の名称+係る商品・サービスの普通名称等普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
  B)その商標が使用をされた結果、周知となっている商標(周知レベルは、指定商品・役務の取引実態に応じて個別に判断される)。
(2) 出願手続き
 @ 出願時提出書類
  @)願書
  ・地域団体商標登録願とし、商標は地域の名称+商品・サービス名、指定商品・サービス名は、地域の名称(産の、における等)+商品・サービス名という形で記載する。
  A)商標の形態
   標準文字、(∵普通に用いられる文字のみ)。
  B)地域団体商標特有の添付書類
   a) 登記事項証明書等及び組合等の設立根拠法律の写し(願書に法律名記載で可)
   b) 商標構成中の地域の名称と商品(サービス)との密接な関連性を示す新聞、雑誌、書籍等の記事若しくはパンフレット、カタログ、広告又は商品(サービス)に関する商標の使用規則等
   c) 周知性の証明書類(必要な場合)
   団体又は構成員の使用により、隣接都道府県レベルの周知性を獲得したことの証明
3.地理的表示法(農林水産省)
(1) 施行時期 平成26年6月25日までに施行
(2) 権利の内容
  ・登録を受けた 生産者団体の構成員は、明細書に沿って生産した特定農林水産物等又はその梱包等について、地理的表示を付することができる。
  ・生産者団体の構成員が地理的表示を付すときは、登録された地理的表示であることを示すマークを併せて付するものとする。
  ・両方付すか、まったく付さないかどちらか。
  ・複数の団体で共同申請可。
   その後別団体の追加申請も可能。
(3) 申請手続き
 @ 費用
  登録申請時に、登録免許税(1件当たり9万円)を納付。
  出願料や登録料は不要。
 A 申請書類が必要
  @)申請書
  A) 明細書
   1) 産品の名称(=地理的表示)
   登録商標と類似の場合、登録を拒否される(商標権者本人又はその許諾を受けた場合を除く)。
   2) 産品の生産地の範囲
   3) 産品の生産方法 (生産ノウハウの開示)
   4) 産品の特性(形、味等)
  B) 生産行程管理業務規程
   団体が行う品質管理業務に関する定め
(4) 適切な管理がなされない場合
  措置命令、登録の抹消、登録の失効等の処分がされる。
  *処分の対象:下記の産品に名称を使用した者
  団体構成員の、基準を満たさない産品
  団体構成員以外の「地理的表示」を付した産品
  *不正使用された場合
  ・不正使用された表示の除去又は抹消命令
  ・命令に従わない場合には罰則あり。
4.活用例
(1) 種苗法と商標法の組み合わせ
  *失敗例:とちおとめ
   ・品種の名称:とちおとめ
   ・出願人:栃木県(とちおとめ関連の商標権なし)
   ・登録商標について、指定商品「穀物の加工品」「菓子・パン」などを民間に取られ、「野菜・果実・苗」の取得はできない(∵商標法4条1項14号)
  *成功例1:あまおう
   ・品種の名称:福岡S6号 出願人:福岡県
   ・指定商品「野菜・果実・苗」「冷凍果実」など
   ・商標権者:全国農業協同組合連合会
   ・指定商品を「菓子及びパン」とする登録商標を民間に取られてしまった
   ・商標権者は福岡県でない
  *成功例2:スカイベリー
   ・品種の名称:栃木I27号 出願人:栃木県
   ・指定商品を「野菜・果実・苗」「冷凍果実」「菓子及びパン」などとする登録商標を栃木県が保有している。
   ・指定商品をおもちゃや身飾品などとする登録商標を民間が保有しているがさしたる問題ではない。
(2) 商標法
 @ 一般商標(識別性又は全国的周知性を要する)
  @)夕張メロン
   商標権者:夕張市農業協同組合
   指定商品:29類「メロンの缶詰等」31類「メロン」
   通常は登録を受けることができない記述的商標(∵識別性がない)だが、全国的周知性を獲得していたので、登録を受けることができた(∵商標法3条2項)。
   指定商品等も多岐にわたる
   その他、図形商標、文字商標、防護表彰登録多数あり
  A)富士宮焼きそば
   *標準文字商標
   商標権者:株式会社プロシューマー(NPO法人から移転)
   指定商品:30類「やきそばのめん等」
          43類「やきそばを主とする飲食物の提供」
   3条1項3号の拒絶理由(識別性がない)が通知されたが、3条2項の適用により登録を受けることができた。
   「富士宮やきそば学会」のメンバーの一人が、報道された資料をほとんどすべて保存しており、証拠として提出され、認められた。
   元々メディアを巻き込んでブームを作った(マスコミ報道にあおられて成長した)。
 A 団体商標
   以下の例示は、地域の名称+商品名称だが、識別力のある創作商標でも取得できるので、地域団体商標とは異なり、さまざまな形態の商標を利用することができる。
  @)信州味噌
   *その他、2段書き文字商標などあり
   商標権者:長野県味噌工業協同組合
   指定商品:30類「みそ」
   *味噌加工品や味噌風味食品もある。
  A)熊野筆
   標準文字
   商標権者:熊野筆事業協同組合
   指定商品:16類「筆、毛筆、絵筆、画筆」
           21類「化粧用はけ、ヘアブラシ、紅筆、まゆ毛用ブラシ 」
 B 地域団体商標
   識別性はない(∵地域の名称+商品等の普通名称)
   *県別登録数ベスト5(2014/9/19)
   1.京都府     59件
   2.兵庫県     33件
   3.石川県 岐阜県 27件
   5.北海道     26件
   *開拓の余地は多い
   *「喜多方ラーメン」はなぜ地域団体商標登録が認められなかったのか。
  @)出願人:協同組合蔵のまち喜多方老麺会
   指定役務:「福島県喜多方市におけるラーメンの提供」
  A)喜多方市内のラーメン店の内6割弱しか加入していない。
  B)周知性獲得には市外の有名チェーン(組合未加入)の影響が大きい
   →出願人・構成員の使用により周知性を獲得したとはいえない。
   ⇒ブランド構築の段階から、団体によるコントロールがあることが望ましい
   (或いは、ブランド構築を前提に団体を設立する)。
5.活用のポイント
(1) 種苗法(対象は「種」と「苗」)
 審査には2〜3年かかり、代理人費用も比較的高額(手続きは比較的容易なので、本人が手続きする場合が多い)。
 記号的に名付けた方がよい(∵ブランド名は商標とする)
(2) 商標法(対象は「商品」と「役務」:対象が広い)
 ・唯一の独占排他権→ライセンス契約により使用者を管理できる。
 ・審査は半年前後、代理人費用は比較的低額。
  @)一般商標
   ・識別性又は全国的周知性が必要。団体所有の場合、構成員のみの使用では、商標権者が不使用であるとして、取り消される場合がある(∵商標権者又はライセンシーの使用が必要)。
  A)団体商標
   ・識別性又は全国的周知性が必要。
   ・団体所有の場合、構成員が使用すれば、団体が不使用であっても、取り消されない。
   ・外部にライセンスすることもできる。
  B)地域団体商標
   ・指定商品・サービスにより、必ずしも全国レベルの周知性を必要としない。
   ・識別性はない。
   ・団体所有の場合、構成員が使用すれば、団体が不使用であっても、取り消されない。
   ・団体及び構成員の使用により周知性を獲得したことを要する。
   ・外部にライセンスすることはできない。
(3) 地理的表示法(農林水産物:一部非食用品も含む)
  ・審査期間は短い。
  ・提出書類の内容は多い。
   明細書に生産方法を記載→ノウハウ流出の危険性大
  ・公示後寄せられた「意見書(誰でも出せる)」を基に、「学識経験者」に審査させる→明細書にどの程度の記載が必要か
  →日頃、特許出願の明細書に、特許されるために必要な事項と、ノウハウ秘匿のために秘匿する事項を分ける業務を行っている弁理士の関与は有効
  ・処分の対象は身内にも及ぶ
  →生産行程管理業務規程の記載のハードルをどこまで上げるか?
  →日頃、特許出願の明細書を書きなれている弁理士の関与は有効
  ・開示したノウハウを使用する他の団体の追加申請を排除できない
  →独占排他権である商標権との併用を考慮するべきなので、弁理士の関与は有効

以上、いくつかの制度を組み合わせて、地域ブランドの有効な育成・活用をすることができます。
ぜひお気軽にご相談ください。

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