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お知らせ

2015-02-06
■ ブランド戦略−大企業のブランド維持行為−

 日本国内だけでなく、国際的にも有名な大企業が、町なかの中小・零細企業相手に、営業表示について商標法や不正競争防止法によって、使用差止め・損害賠償請求訴訟を起こすことがあります。
 ほおっておいても無害に思える面もありますが、なぜそのようなことをするのでしょうか。
 放置しておくとどのようなリスクがあるので、大企業は法的措置を取るのでしょうか。
 また、無頓着に著名商標等に便乗する行為は、どのようなリスクを伴うのでしょうか。
1.登録商標の効力の制限(普通名称)
 商標権の効力は、登録商標の指定商品又はサービスの「普通名称」と同一または類似の商品又はサービスを普通に用いられる方法で表示する商標には及びません(26条2・3項)。
 取引上何人にも使用を確保させることが必要だからです。
 登録を受けられたということは、査定時にはその商標は、その指定商品又はサービスの普通名称ではなかったということです。
 しかし、ある登録商標を付した商品やサービスが大ヒットすると、まるでその登録商標がその商品等の普通名称であるかのように、世間一般で使用されることがあります。
 ポリバケツ、セロテープ、マジックテープなど、正式名称がすぐには分からないものもたくさんあります(ちなみに正式名称はそれぞれ、プラスティック製バケツ、セロハン粘着テープ、面ファスナー)。
 そこで、商標登録をしてあっても、他人の自由な使用に任せていると、普通名称化してしまうことも起こります。
2.普通名称化のタイプとその認定
(1) 先駆的商品等
 使用された商品等が先駆的商品等であるため、業界において、その商品を指称する一般的な名称がなくて、その登録商標が代名詞となり、そのまま普通名称化するものです。
(2) 低識別力
 登録商標であっても、本来的に使用商品を暗示するような識別力が弱い商標であるため、普通名称と混乱して使用されて、普通名称化するものです。
(3) 裁判例で普通名称化したとされているもの
@巨峰:株式会社日本巨峰会(商標登録第472182号 出願S29.11.6.登録S 30.10.27.)
大阪地裁H13.11.27 H13(行ケ)169
 原告は、本件品種を表す普通名称は「石原センテ」である旨主張する。
 本件品種が「石原早生」と「センテニアル」の交配により作出されたことは、前掲「巨峰ブドウの開発,研究の歴史的事実」及び「巨峰ブドウ栽培の新技術」のほか、「まるごと楽しむブドウ百科」、「くだものの科学」、「果樹生産ハンドブック」、「果樹園芸大事典」、「決定版 生物大図鑑 園芸植物II 双子葉植物離弁花類・裸子植物・シダ類など」といった書籍に記載されている。しかし、本件品種を表す語として「石原センテ」という名称が見られるのは、日本巨峰会の作成した「巨峰ブドウの開発,研究の歴史的事実」(、日本巨峰会及び原告が平成11年ごろ作成したちらし、日本巨峰会及び原告が出版社等に対して行った申入れ中の記載と、「新編日本食品事典」の「果実類」の執筆担当者が、日本巨峰会及び原告の申入れを受け、「新編日本食品事典」の第2版に品種名として「石原センテ」と記載する旨述べているところがあるだけである。日本巨峰会の代表者であるCの著作に係る「巨峰ブドウ栽培の新技術」においてさえ、「巨峰ブドウの果実は、商標登録第472182号を受けている。」という記載がある一方、「石原センテ」という名称は記載されておらず、本件品種を表すために「巨峰ブドウ」という名称を用いている。
 以上の事実によれば、「石原センテ」という名称は、日本巨峰会又はその関係者によって使用されることがあるにすぎず、一般には知られておらず、本件品種を表す名称としては、一般には、「巨峰」という名称が専ら用いられてきたものと認められる。
Aうどんすき:美々卯(商標登録第553621号 出願S33.9.5.登録S 35.7.29.)
東京高裁H9.11.27 H9(行ケ)62
 特定の商品に付された造語であっても、その語が長年使用されることにより取引者、需要者に商品の一般的名称として認識されるに至る場合があり、その場合には、その語は、普通名称化したと認めざるを得ない。(中略)「うどんすき」なる語は、訴外薩摩平太郎が創作した料理の名称として考案した当時は原告の商品としての出所表示機能を有するものであったが次第に京阪神地区を中心としてうどんを主材料とした鍋料理を意味する語として使用されるようになり本件商標の登録査定時である平成3年5月24日当時には、既に本件商標の指定商品である「うどんめん、うどんめんを主材にした加工食料品」の一般需要者はもとよりその専門的な加工販売業者等の取引者の間でも「うどんを主材料とし魚介類、鶏肉、野菜類等の各種の具を合わせて食べる鍋料理」を意味するものと広く認識されるに至っていたものと認められる。
B正露丸:大幸薬品(商標登録第545984号 出願S27.1.11.登録S 34.12.16.)
大阪地裁H18.7.27. H17(ワ)11663
 特定の業者の製造販売する普通名称を付した商品が大量の広告宣伝等を通じて大半のシェアを有するに至ったとしても,それだけで直ちにその普通名称がその業者の製造販売する商品を識別する機能を有する商品表示性を取得するものでないことは明らかである。前記認定のとおり,昭和29年10月30日以降も「正露丸」等の名称で本件医薬品の製造販売を行っている業者が複数存在し,売上金額ベースで高いシェアを誇る原告製品と比較して少額ではあるものの,本件医薬品全体の中で決して無視できない割合を占めている。(中略)現に,他社製品は,少なからぬ薬局・薬店・ドラッグストア等において,原告製品と並べて陳列され,それぞれ相当の価格差のある価格表示がなされていて,一般消費者に対して原告製品とはそれぞれが別個の商品であることを明示して販売されていることが認められる。(中略)「正露丸」の語は,少なくとも「正露丸」の製造販売に携わる取引者の間では,前記のとおり,本件医薬品の一般的な名称として認識されており,原告製品を指称する商品表示として認識されているものではないというべきである。このことは,本件医薬品の小売業者が原告製品と他社製品とで販売価額に顕著な差異を設けていることや,原告製品と他社製品が薬局・薬店・ドラッグストア等においてそれぞれ別個の商品として並べて陳列販売されていることからみて疑うことができないことであると解される。そうである以上,一般消費者の間において「正露丸」の語から原告が想起される割合が比較的高いからといって 「正露丸」の語が原告製品を指称するものとして,取引者を含む需要者全体に認識されるに至ったものということはできない。
 以上の点に加え,昭和52年以降本件訴え提起までの間に,原告が「正露丸」の名称で本件医薬品の製造販売を行っている他の業者に対し,その名称の使用を排除するための措置をとり,実際にその使用を中止させたことは一度しかないこと,原告は,原告製品の宣伝広告活動において 「正露丸」の表示とともに「ラッパのマーク」を強調していることなど,前記1(2)及び2(1)で認定した諸事実を総合すると,原告が巨額の宣伝広告費を投じてその製品の宣伝広告を行った結果,原告の製品は,昭和40年ころまでには,本件医薬品の需要の約90%を占めるに至ったこと,その後も原告は多額の費用を投じて宣伝広告活動を行い,本件医薬品市場において,原告製品は今日でもなお高いシェアを占めていることなど,前記認定の諸事実を考慮しても 「正露丸」の語が本件医薬品の製造販売に携わる取引者に対し本件医薬品を指称する一般的名称として受け取られていて,原告製品を指称する商品表示としては認識されていないことはもとより,一般消費者においても,それが本件医薬品の一般的名称ではなく原告製品を指称するものとして認識されるに至ったものとはいまだ認めるに足りないといわざるを得ない。
 以上によれば 「正露丸」の語は,昭和29年10月30日以降の事情の変化により原告製品を識別する商品表示性を取得したものということはできず,現在においてもなお,本件医薬品を指称する普通名称であることを免れることはできないというべきである。
C招福巻:小鯛雀鮨 鮨「萬」(商標登録第2033007号 出願S59.1.31.登録S 63.3.30.)
最高裁 H22.1.22 H20(ネ)2836
 「招福」はもともと「福を招く」を名詞化したもので馴染みやすい語でありこれと巻き寿司を意味する「巻 」を結合させた「招福巻」なる語を一般人がみれば,節分の日に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりする風習の普及とも相まって,極めて容易に節分をはじめとする目出度い行事等に供される巻き寿司を意味すると理解し,被控訴人の本件商標が登録されていることを知らないで「招福巻」の文字を目にする需要者は,その商品は特定の業者が提供するものではなく,一般にそのような意味づけを持つ寿司が出回っているものと理解してしまう商品名ということができる。(中略) なお,広辞苑に「招福」の語が収録されたのは平成20年発行の第6版からであるが,既にみたとおり 「新辞林」や「大辞林」にはそれ以前から収録されていたし,上記広辞苑への収録も,それまでの少なくとも数年間の使用実態を踏まえてのことと考えられるから,その収録の事実は平成16年当時に「招福」の語も普通名称化していたことを裏付けるものといえる。
 したがって 「招福巻」は,巻き寿司の一態様を示す商品名として,遅くとも,平成17年には普通名称となっていたというべきである。
 もっとも 「招福巻」が,本件商標の指定商品に含まれる巻き寿司についての登録商標であることが一般に周知されてきていれば格別であるが,被控訴人が警告をし始めたのはようやく平成19年になってからであり ,本件全証拠によってもその時点までに本件商標が登録商標として周知されていたと認めるに足りず,かえって上記警告の時点までに「招福巻」の語は既に普通名称化していたものというべきである。
(4) 特許庁により普通名称との判断が示されているもの
@サニーレタス S57-2936
 「昭和55年4月25日発行おかずサラダ250選(主婦の友社発行)」、「昭和48年9月10日発行野菜クッキング百科(女子栄養大学出版部発行)」及び「昭和54年コユ月1目発行やさい読本(青果流通消費研究会編)」によれば、サニーレタスはレタスの一種で、昭和40年代に商品名として命名されたものであり、原産地は中近東地域で、不結球型のリーフ型レタスの一種であるが、我が国においても栽培されており、年じゆう出回っていることが認められるばかりでなく、八百屋、スーパーマーケット及び百貨店等において、通常の野菜類と共に葉先が茶紅色をした不結球のリーフ型レタスを「サニーレタス」と称して販売されている事実がある。
Aポケベル S62-15568
 「ポケットベル」あるいはその略称としての「ポケベル」の語は、「携帯用の小型無線呼び出し機」あるいは「無線による呼び出し受信機(装置)」を指称し、「無線による個別呼び出し方式」、「無線呼び出し」等を意味するものとして広く一般に使用され、認識されていることが「コンサイス外来語辞典」「Gakkenカタカナ新語辞典」「成美堂力タカナ踏新辞典」「NEC力タカナ語新辞典」「旺文社力タカナ語新辞典」「三省堂国開辞典」「現代用語の基礎知識」「imidas」「知恵蔵」「日経手帳」「ニユーメデイア用語辞典」「通信用語辞典」「テレバンク'90」の記載より認められ、また、本願の指定商品を取り扱うこの種業界において、「ポケットベル」あるいはその略称としての「ポケベル」の語は、「電話のダイヤルを回すと、無線基地から目動的に電波が発射されて、ポケットの中の受信機が音を出すあるいはデジタル表示をする呼び出し装置」、「携帯用の小型無線呼び出し機」を指称する商品表示として使用されていることが認められ、さらに、「電話のダイヤルを回すと、無線基地から自動的に電波が発射されて、ポケットの中の受信機が音を出すあるいはデジタル表示をする、呼び出しサービス(事業)」、「携帯用の小型無線呼び出しサービス(事業)」を指称するものとして認識され、使用されていることが「大井電気(株)のパンフレツト」、「三菱電機(株)のパンフレツト」、「郵政省東海電気通信管理局東海電気通信事情」、「郵政省九州電気通信管理局 九州における電気通信の現状」、「郵政省通信政策局地域情報通信開発事業について」、「長野県地域衛星通信ネットワーク入門」、「(財)電気通信政策総合研究所電気通信統計」、「電気通信研究会90年代の電気通信」、「(社)日本情報通信振興協会他2 これからの移動体通信1990年10月」、「情報通信ジャーナル1989年4、5、6、10、12月号1990年1、2、8、10、11月号等」、「郵政省電気通信局電波部移動通信課 利用者のための移動通信ガイド89年度版」、「テレメッセージ各社の商品カタログ」等の記載から認められ、各種の日刊紙、雑誌においても上記の意味合いで使用され、商品、サービスの広告、宜伝がされているのが実情である。
3.商標管理の重要性
 企業は、登録商標の使用に際しては、登録商標である旨を併記し又はTM、® を付記することが基本です。
 特に、商品の説明文等の中では、カッコに入れたり書体を変えたりして、登録商標を地の文と区別すべきです。
 他社の使用例を発見したら、内容証明郵便等で、自社の登録商標であるから使用を止める旨の警告を行わないと、識別性維持の努力不足により普通名称化したとされてしまいます。
 「招福巻」事件の裁判例でも、警告の遅さが指摘されています。
 マスコミや出版物、特に辞書で普通名称のように記載される場合もあります。
 辞書に掲載されれば、普通名称と認められてしまいます。
 掲載中止の申し入れを行わなければなりません。
 著名商標を所有する大企業は、商標法だけでなく、不正競争防止法の適用も視野に入れて、裁判も含めて対応し、ブランドの維持に努めています。
(1) ホテルシャネル事件
 神戸地方裁判所 S62.3.25. S59(ワ)94
 シャネル製の香水は昭和8年に初めて我が国に輸入、販売され、昭和10年から14年ころにかけてその商標について登録の出願公告がされたというのであるが、当時の我が国の社会、経済情勢、一般国民の生活様式等に照らして、香水や高級婦人服を取扱う「シャネル」の名称が広く一般国民の間に知られるに至つたとは到底認め難いところである。しかし、昭和29年2月に【A】(マリリン・モンロー)が来日した際、寝るときは「シャネル5番を着るだけよ」と答えたという話は、同女が真実そう答えたかどうか真偽の程はとも角として、いわゆる戦後の舶来崇拝の風潮が蔓延していた当時の時代背景の下で、同女の映画スターとしての人気と相まって我が国民の間に一躍有名になったのであり、ここに香水「シャネル5番」は周知の商品となり、これに伴って「シャネル」は、その製造販売元であるシャネルグループの営業たることを示す表示としてそのころから昭和30年代の始めにかけて我が国においても周知となったと認められる。
 原告の属するフアッション関連業界においても経営が多角化する傾向にあり、著名なデザイナーの名を冠したいわゆるブランド商品が多数出回っている現状に思いを致すとき、少なくとも一般消費者において本件ホテルが原告らシャネルグループと業務上、経済上又は組織上何らかの連携関係のある企業の経営に係るものと誤認する虞を否定することはできず、したがつて、「ホテルシャネル」の名称を使用して本件ホテルの経営をした被告の行為は、原告の営業上の施設又は活動と混同を生じさせるものと認められる。
 原告は、長年にわたって培ってきた「シャネル」の表示のもつ高級なイメージを、一般に低俗なイメージを与えるいわゆるラブホテルの名称として使用されたことにより、侵害されたと認められるのみならず、他人が「シャネル」の名称を使用するときは、「シャネル」の表示が有している原告らシャネルグループの商品及び営業を喚起させる力を阻害し、その結果、同表示の宣伝的機能を減殺することになる(いわゆる希釈化)といわざるを得ない。よって、原告は、被告の行為により営業上の利益を害せられたと認められるが、その損害はいずれも無形の損害であって、性質上一義的にその数額が算出されるものではないけれども、原告の営業内容、宣伝広告費等の支出状況、被告の営業内容、「ホテルシャネル」の名称使用期間等、本件に顕れた諸般の事情を斟酌すれば、同損害額は金100万円をもって相当と認める。また、原告が原告訴訟代理人の弁護士に本件訴訟の提起、追行を委任したことは、本件記録上明らかであるところ、本件事案の内容、本件訴訟の経過、認容額等に鑑み、被告の行為と相当因果関係のある損害として被告に賠償を求めるべき弁護士費用の額は、金20万円が相当であると認められる。
(2) スナックシャネル事件
 最高裁 H10.9.10. H7(オ)637
 本件は、新法附則2条により新法2条1項1号、3条1項、4条が適用されるべきものであるが、新法2条1項1号に規定する「混同を生じさせる行為」は、右判例が旧法1条1項2号の「混同ヲ生ゼシムル行為」について判示するのと同様、広義の混同惹起行為をも包含するものと解するのが相当である。けだし、(一)旧法1条1項2号の規定と新法2条1項1号の規定は、いずれも他人の周知の営業表示と同一又は類似の営業表示が無断で使用されることにより周知の営業表示を使用する他人の利益が不当に害されることを防止するという点において、その趣旨を同じくする規定であり、(二)右判例は、企業経営の多角化、同一の表示の商品化事業により結束する企業グループの形成、有名ブランドの成立等、企業を取り巻く経済、社会環境の変化に応して、周知の営業表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、広義の混同惹起行為をも禁止することが必要であるというものであると解されるところ、このような周知の営業表示を保護する必要性は、新法の下においても変わりはなく、(三)新たに設けられた新法2条1項2号の規定は、他人の著名な営業表示の保護を旧法よりも徹底しようとするもので、この規定が新設されたからといって、周知の営業表示が保護されるべき場合を限定的に解すべき理由とはならないからである。
 これを本件についてみると、被上告人の営業の内容は、その種類、規模等において現にシャネル・グループの営む営業とは異なるものの、「シャネル」の表示の周知性が極めて高いこと、シャネル・グループの属するファッション関連業界の企業においてもその経営が多角化する傾向にあること等、本件事実関係の下においては、被上告営業表示の使用により、一般の消費者が、被上告人とシャネル・グループの企業との間に緊密な営業上の関係又は同一の商品化事業を営むグループに属する関係が存すると誤信するおそれがあるものということができる。したがって、被上告人が上告人の営業表示である「シャネル」と類似する被上告人営業表示を使用する行為は、新法2条1項1号に規定する「混同を生じさせる行為」に当たり、上告人の営業上の利益を侵害するものというべきである。
(3) ウォークマン事件
 千葉地裁H8.4.17. H03(ワ)7146
@ 靴類のライセンス料収入4億5559万円、被服類のライセンス料収入3億6037万円を認定。
 再使用許諾においては、許諾製品の品質について予め許諾権者の検査承認を受けること及び許諾製品の宣伝広告内容についても同様とすること等、「ウオークマン」表示を使用する製品の品質管理及び「ウオークマン」表示の使用方法について相当厳格な約定が付されている。
 原告は、その地域・自己系列店をして、「ウオークマン」製品の販売強化を図るため、平成元年頃より、全国各地の特約電気店等に対し、「WALKMAN PRO SHOP」という表示の下に営業をなすことを許諾している。そして、右の許諾をうけて右表示を使用している店舗は、平成4年2月現在で、全国に97店あり、千葉市内には2店存在している。
 原告の依頼により、株式会社電算は、平成4年3月に、「ウオークマン」という名称が原告(「ソニー」)の代名詞ということができるほど消費者に浸透しているか否か及び「有限会社ウォークマン」という名称が原告と何らかの関係があると誤解を招くおそれがあるか否かの二点を調査目的として、電話調査法による調査をした。右調査対象は東京都内及び千葉県内の高校生から40歳代までの500人であったが、「ウオークマン」という言葉からどのような物を思い浮かべますか、またそれはどこのメーカーの商品ですか、という質問に対し、ヘッドホンステレオでソニー製と回答したものが東京居住者では41パーセント、千葉居住者では4パーセント、そのほかの商品であるがソニー製と回答したものが東京居住者では42.3パーセント、千葉居住者では27パーセントに達している。従って、「ウオークマン」という言葉からソニーを連想した人は東京居住者で83.3パーセント、千葉居住者で76.0パーセントに達していることになる。
※【需要者に広く認識されている】(周知性の有無)○
A 被告の商号中の「ウォークマン」部分は、「ウオークマン」表示の表記及び称呼と同一である。
※【同一若しくは類似】(類似性) ○
B 新法2条1項1号所定の「混同を生じさせる行為」は、周知の他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、商品の容器若しくはその他の商品又は営業を表示するもの)と同一又は類似のものを使用する者が、自己と右他人とを同一の商品主体又は営業主体と誤認させる行為のみならず、自己と右他人との問にいわゆる親子会社関係、系列関係、あるいは業務提携関係、ライセンス提携関係等、組織上、経済上、取引上何らかの特別な関係が存在するものと誤認させるおそれのある行為を包含し、必ずしも両者間に競争関係が存在することを要しないものと解するのが相当である。(中略) これらの状況のもとで、被告が有限会社ウォークマンの商号のもとに「ウォークマン」という名称を営業活動及び営業施設について使用し、更には被告標章を前記のとおり被告の取扱商品について使用するのであれば、一般取引者及び需要者が、原告と被告との間には前記のとおり組織上、経済上あるいは取引上何らかの特別な関係があると誤認するおそれがあると認めるのが相当である。
※【他人の商品または営業と混同を生じさせる】(混同) ○
4.商標権者と商標使用者のリスク
(1) 商標権者
 せっかく登録を受けた商標も、普通名称化してしまえば、効力をなくしてしまいます。
 先駆的商標であれ、識別力の低い商標であれ、普通名称化させないような管理が重要です。
(2) 商標使用者
 著名商標に安易にタダ乗りしようとすると、訴訟リスクを負うことになります。
 訴訟経験も資金力も違う大企業相手に戦っても勝ち目はありません。
 安易なタダ乗りはしない、また、警告を受けたら速やかに使用を停止して訴訟を回避する、など現実的な対応が重要です。
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