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お知らせ

2015-01-14
■ 中小企業にとっての特許−取得の目的−

1.独占排他権としての特許
 特許法68条には、
 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。
 と規定されています。
 独占禁止法21条に、
 この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。
 と規定されており、特許権者は、特許権の存続期間である出願から20年間は、特許製品を独占的に製造販売することができます。
 他人が製造販売等を行ったら、故意や過失の有無にかかわらず、侵害として差止めを請求することができます。
 また、特許法103条の規定により、特許権の侵害には過失が推定されますので、過失を要件とする損害賠償(民法709条)の請求において、侵害者の過失を立証する負担がありません。
 通常の損害賠償請求においては、故意・過失の立証は、請求を行う側に責任がありますが、特許権侵害における損害賠償請求では、請求される側が故意・過失がなかったことを立証する責任があります。
 自ら製造販売を行わない場合でも、ライセンス契約を結ぶことによって、収入を得ることもできます。
 例えば、グリルから焼き魚などを崩さずに掬う道具の発明として、特許第3495363号と、特許第3848349号があります。
 第3495363号が基礎発明で、第3848349号が改良発明となります。
 これは、和歌山県の主婦の発明ですが、テレビ朝日のSmaSTATIONサイトによると、前者だけでも、発売からわずか2年で約15万個、1億5000万円の売り上げがあったそうです。
 
2.独占排他権と中小企業
 中小製造業は、日本の競争力の源泉と言われていますが、中小企業を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。
 中小企業白書によれば、中小製造業の事業所数は、1995年には38万8千件弱あったものが、2011年には23万3千件強となっており、特に小規模事業所ほど減少率が大きくなっています。
 
 中小製造業が「日本の競争力の源泉」と表現されるのは、中小製造業の製造する優秀な部品が輸出型大企業の技術力を支えている、という意味合いがあります。
 しかし、長引くデフレから大企業の製造拠点が海外へ移転し、その結果海外の部品メーカーの技術力も向上した結果、日本の中小製造業は激しい価格競争にさらされ、それが中小企業の衰退の一因となっています。
 部品だけを製造するいわゆる下請け企業は、価格圧縮圧力にさらされており、利益率が低くなっていますが、保有する高い技術力をもって、「部品」ではなく「製品」を製造するメーカーとなることができれば、価格決定力を得て、高い利益率で製品を販売することができます。
 また、部品メーカーであっても、特許製品を製造しているのであれば、製品メーカーに対抗することも可能です。
 現在裁判中の一件ですが、部品メーカーの島野製作所が、アップルを訴えています。
 訴状によれば、島野製作所は、アップルから依頼を受けて新製品用のピンを開発し、そのピンの増産を何度も求められ、発注量を保証する合意のもとで量産体制を構築しました。
 しかし、それから約半年後に突如、ピンの発注量が激減したのです。
 原因は、アップルは別のサプライヤーに島野製作所より安価で代替ピンを製造させていたことです。
 これが、島野製作所保有の特許権を侵害していたと主張しています。
 さらに、従前どおりの取引再開を求めると、アップルは値下げを要求し、やむなくその条件をのむと、さらにリベートの支払いも必要だと言ってきました。
 これは実質的に、決済が終わった売却済み製品の値下げの強要で、不当なリベート要求であり、独占禁止法に違反するものだ、とも島野製作所は主張しています。
 独占禁止法との合わせ技とはいえ、特許権がなければ、泣き寝入りになっていた可能性もあると思います。
3.中小企業はニッチ市場でサバイバル
 部品であっても、従来製品を改良して性能を向上させるものを開発した場合には、特許を出願し、製造販売等における独占排他権を保有しておくことは非常に重要です。
 もっとも、この場合は、ノウハウとして営業秘密として管理するかどうかの判断も重要ですが。
 さらに、完成品である「製品」について独占できれば、価格を自分で決定できるようになるのです。
 そこで問題となるのは、どのような市場を目指すのか、ということです。
 当たり前のことですが、従来の業務にかかわる技術から遠く離れたものでは、新たな設備投資が必要となってしまいます。
 自社の持つ技術で基本特許を取得できるものは何か、さらに、改良発明して独占を維持できるものは何かを考えなければなりません。
 それだけでは漠然とし過ぎているので、ターゲットの選定についてのファクターをさらに付け加えると、市場規模があります。
 なぜ「ニッチ市場」が狙い目か、というと、まず、大企業が参入してこないからです。
 仮に基本特許を押さえたとしても、大企業の開発力で改良に関わる州へ技術を朝えられてしまえば、クロスライセンス契約を結ばなければならなくなり、独占のうまみが消えて市場での強みを失ってしまいます。
 そのため、大企業が興味を持たない程度のニッチ市場が狙い目となるのです。
 また、市場規模がさほど大きくなければ、同業の中小企業も、特許権侵害リスクを冒してまで参入してはきません。
 例として、まず、ホタテ貝自動生剥き機があります。
 ホタテ貝は養殖にシフトしてから1日トン単位で安定して生産されるようになりました。
 このホタテの殻を剥き、ヒモをとるなどの加工を従来通り手作業で行うと、人海戦術にも限界がある上に、作業効率が低く、割高になってしまっていました。
 この自動化を実現したのが、株式会社ニッコーの「オートシェラー」です。
 貝柱を殻から切り離すのではなく、自然のまま取り出すことを実現しました。
 
 特許は、第2735644号、第2795634号、第3554637号第3612128号第4436009号を保有し、基本発明から改良発明までを押さえています。
 それから、枝豆の莢を剥く、豆莢剥き機も挙げておきましょう。
 枝豆は最近、袋詰めで販売されることが多くなりました。
 すると1粒しか入っていない莢や、傷がついている莢等があると苦情につながるため、規格外品として廃棄物となっています。
 中身の豆自体は問題ないのに、ひどい年には30%以上が捨てられる状況でしたが、人が剥いたのでは人件費がかかり過ぎて採算が合わないため、捨てられていました。
 株式会社PSSは、元々オリジナルオーダーの「一点もの」の受注が中心でしたが、廃棄を減らしたいという要望により、「豆莢剥き機」を開発しました。
 
 特許は、第4437842号を保有しています。
 今までは捨てられていた豆が、ずんだ、給食のグリーンピースの代わり、スイーツなどに広く使われるようになりました。
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 一朝一夕にヒット商品を生みだすことができるとは限りませんが、「製品」づくりを意識すること、すなわち「これは不便だな」と思ったことを解決する「もの」をつくろうと考える習慣をつけることができれば、それを既に持っている技術と結びつけることで「製品メーカー」としてサバイバルすることができるかもしれません。
 そして、そこで生まれた発明を特許化することが、市場独占=サバイバルにつながるのです。
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