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お知らせ

2014-07-10
■ iPod訴訟控訴審−出願から判決まで−

1.出願経過
 昨年11月のトピックスで、iPodの特許権侵害訴訟について述べましたが、本年4月24日に、知財高裁でその控訴審の判決が出ました。
 判決要旨は1審と変わらず、アップル社は控訴審でも敗訴しました。
 もっとも、特許権者側は、「金額的には不満。日本の中小企業や発明家に夢と希望を与える結果ではなく残念だ」と金額が変わらなかったことに不服のようですが、懲罰的損害賠償制度のない日本では、あくまでライセンス料相当額にとどまるのは仕方のないことでしょう。
 ところで、争点となった特許の出願経過は、以下の通りです。
(1) 原出願
 1999年1月6日に、この訴訟の争点となる接触操作型入力装置について特許出願されています。
 この出願は2004年4月に、拒絶理由(新規性・進歩性なし)を通知され、それに対し、補正を行いました。
 しかし、8月にまた拒絶理由(新規性・進歩性なし)を通知され、補正し、2005年2月にさらに同様の拒絶理由が通知され、それに対する補正も却下され、9月に拒絶査定されました。
 いったんは、拒絶査定不服審判を請求しましたが、その後審判請求を取り下げています。
(2) 分割出願
 ところで、上記の最初の拒絶理由通知の前の、2005年5月2日に、後に特許される接触操作型入力装置およびその電子部品の発明について、分割出願がなされています。
 この出願は、自発補正を行い、また、拒絶理由に対応する補正も行った上で、2006年9月に特許査定され、同月に登録されました。
 その直後から、ファイル記録事項の閲覧請求及び、ファイル記載事項記載書類の交付請求が頻繁になされています。
 この段階で特許権者が、アップル社に対して、特許権に基づく何らかの請求がなされ、アップル社がそれに対抗するために、出願経過の詳細を知りたがったものと思われます。
2.1審(平成19年(ワ)第2525号,第6312号)
 この訴訟は、初めから特許権者が損害賠償の支払いを求めて、アップル社を訴えたものではありません。
 アップル社が、不存在確認請求訴訟を提起し、それに対して特許権者が損害賠償請求の反訴を提起したものです。
 上述の、特許権取得後に特許権者がアップル社に何らかの請求を行ったであろう、という推測は、この訴訟経過も考慮しています。
 特許権が成立した2006年の翌年、2007年に提起され、2013年の9月に結審しています。
(1) 訴訟の争点
 @ iPodのタッチホイールが、特許権者の特許発明の技術的範囲に属しているか否か。
 A 接触操作型入力装置およびその電子部品の特許発明には無効理由があるか否か。
 B iPodのタッチホイールが、特許権者の特許発明の技術的範囲に属している場合の、特許権者の損害の額。
(2) 裁判所の判断
 @ iPodのタッチホイールは、特許権者の特許発明の技術的範囲に属している。
 A 接触操作型入力装置およびその電子部品の特許発明は、新規性・進歩性を有し、無効理由はない。
 B iPodのタッチホイールについては、一定の寄与が認められるが、クリックホイールについては、寄与の程度が高いとは認められず、100億円の請求に対し、3億円強を認める。なお、この金額について、仮執行を認める。
3.控訴審(平成25年(ネ)第10086号)
 1審判決に対し、原告、被告ともに、判決を不服として、控訴しました。
(1) アップル社の主張
  原判決を取り消す。
  無効理由については、新証拠がある。
(2) 特許権者の主張
  損害賠償額を、約100億円とする。
(3) 裁判所の判断
 @@)iPodのタッチホイールは、特許権者の特許発明の技術的範囲に属している。
   A)新たな無効理由は1審で提出できなかった事情を見いだせないので、重大な過失により時期に遅れた防御方法に該当し、民事訴訟法により却下されるべきものだが、訴訟の完結を遅延するまでもなく失当であることが明らかであるので、却下せずに判断し、その結果、無効理由は認められない。
 A 損害額については、1審の通り認める。
4.結び
 1審の敗訴を受け、アップル社はかなり気合を入れて控訴審に臨んだものと思われますが、結果は厳しいものでした。
 控訴審で提出した無効証拠についても、けんもほろろ、です。
 訴訟経過をみると、知的財産の担当者と、訴訟法務の担当者の情報共有など、製品の技術開発に対してほどには、緻密に取り扱っていないように感じられます。
 なお、報道では、特許権者が差止めを請求していないので、今後の販売に支障はない、等の記事がありましたが、アップル社はもう別の技術を使っているので、差止め請求する必要も意味もない、というのが本当のところです。
 アップル社ほどの大企業でも、このようなことがあります。
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