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お知らせ

2014-01-14
■ 肖像権等について(1)−特許権や著作権と比較して−

1.私法上の権利
 私法上の権利は、大きく分けて人格権と財産権があります。
 人格権は、元々身体、自由、名誉に関する権利でしたが、最近ではさまざまな派生した権利が誕生しています。
 プライバシー権なども肖像権と深い関連があります。
 財産権はひとことで言って所有権です。物権、債権、そして特許権などの無体財産権を含みます。
 将来的な利益も含むので、逸失利益が争われることがしばしばあります。
2.産業財産権における人格権
(1) 特許法
 特許原簿に「発明者」として記載される権利とでもいいましょうか。
 基本的に産業立法である特許法等では、あまり人格権的規定はありません。
 しかし、出願の際願書に「出願人」(権利を請求する者)だけでなく、「発明者」を記載することが義務付けられており、これは発明者の名誉を保護するものともいえます。
(2) 商標法
 商標法は、特許・実用新案・意匠と違い、創作そのものを保護するのではなく、商標に化体した業務上の信用を保護するものですので、登録阻害事由(商標法4条)に、規定があります。
 第4条1項8号では、他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く)については、登録を受けることができない旨を規定しています。
 客観的に該当しても、本人の承諾があれば拒絶されないという点で、人格権の保護であることが表されています。
(3) 財産権
 産業財産権4法には、すべて侵害に対する差し止め請求権が規定されています(特100条・実27条・意37条・商36条)。
 これは、発明者等の人格が傷つけられるのを防止するために認められているのではなく、侵害行為の継続によって生じる特許権者等の損害の発生を防止するためのものです。
 損害賠償については、民法709条に基づいて請求されますが、無体財産権であり損害額の算定が困難であることから、損害額の推定等の規定が設けられています(特102条・実29条・意39条・商38条)。
3.著作権法
(1) 著作者人格権
 著作権法18条から20条に規定されています。
 公表権(18条)は、自分の著作物を勝手に公表されない権利です。
 氏名表示権(19条)は、自分の著作物が公表や利用される際に、使命を表示させる(あるいはさせない)権利です。
 同一性保持権(20条)は、自分の著作物を勝手に改変されない権利です。
 著作者人格権は著作者の一身に専属し、譲渡することはできません(59条)。
 すなわち、著作者の死亡・消滅(法人著作の場合)により消滅します。
 ただし、死後であっても、生きているとしたら著作者人格権の侵害になる行為は、禁止されています(60条)。
 また著作者の遺族は、60条違反の行為について、差止め(112条)や名誉回復(115条)を請求することができます。
(2) 著作(財産)権
 著作権者は複製権(21条)をはじめとした財産権を占有します。
 内容は21条から28条までに規定されています。
 複製権(21条)、上演権及び演奏権(22条)、上映権(22条の2)、公衆送信権(23条)、口述権(24条)、展示権(25条)、頒布権(26条)、譲渡権(26条の2)、貸与権(26条の3)、翻訳権、翻案権等(27条)、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28条)があります。
 もちろん差止め請求(112条)は財産権の保護ためにも認められています。
 また、特許法同様に、無体財産権として損害額の推定等の規定(114条)も設けられています。
4.肖像権
(1) 肖像権という考え方の発生
 上記のような明文の規定がある権利とは異なり、肖像権は判例で認められている権利であり、判例によって形成され、また、形成されつつある権利であるといえます。
 アメリカでの写真機の発明から普及により、写真を撮影する際に、被写体の許可が事前に必要かどうかが争われました。
 その際は原則的に事前許可は必要がないということになり、おかげで写真技術業界は飛躍的に発展したといわれていますが、その後ドイツで、写された写真を勝手に公表・複製していいかどうかが問題になりました。
 撮影された写真自体は、撮影者が著作者である写真の著作物ですが、肖像写真の場合被写体にも権利があるのではないかとの考え方が発生しました。
 その流れから、現在でもアメリカ法では肖像権として独立した法律は立てず、プライバシー権の一部として処理されていますが、ドイツでは肖像権について著作権法の中に規定されています。
(2) 肖像権の内容
 @ 肖像権とは、自己の容貌姿態をみだりに撮影等作成され、これを公表されることを拒否することができる権利です。
 その内容は以下の3つの形態を含みます。
  @) 自己の肖像の作成の拒絶権
    意思に反して撮影されること等を拒絶する権利です。
  A) 自己の肖像の公表の拒絶権
    作成されたこと自体は意に反していなくても、その肖像を公表することを拒絶する権利です。
  B) 自己の肖像の営利目的利用の拒絶権
    自己の肖像を営利目的で利用されることについての拒絶権です。
   大雑把に分けると、このうち@とAが人格権であり、Bが財産権です。
 A この場合の肖像の作成とは、写真だけではなく、彫刻やスケッチ、漫画、似顔絵によるものも含みます。
 以下の例からも分かるように、人格権としての肖像権について争われる場合には、名誉毀損やプライバシー侵害と密接に結びついています。
 具体的な侵害態様は以下のようなものです。
  @) 写真によるもの
   a) 行動を歩いている姿を隠し撮りされ、刊行物に掲載された件。
   b) 自宅にいる姿を撮影され、刊行物に掲載された件。
   c) 法廷で隠し撮りされた件。
   d) 逮捕状の執行の際の警察官の姿を撮影した報道写真に被疑者が撮影され、公表された件。
  A) 彫刻によるもの
   a) 政治家の胸像が無断で作成され、展示された件。
   b) 政治家の顔写真を入れたメダルが作成された件。
  B) スケッチ、漫画、似顔絵によるもの。
   a) 法廷の被告人の動静を報道するためその容貌をイラスト画にして刊行物に掲載する行為。
   b) 法廷に行く途中の被告人の手錠又は腰縄姿をイラスト画にして刊行物に掲載する行為。
   c) 有名人の顔をデフォルメして、刊行物に掲載する行為。
   d) 論争相手に対する反論の文章の横に、論争の相手の顔をイラストにし、唐草模様の風呂敷を背負った泥棒姿にする行為。
(参考文献:「肖像権」新版・大塚重夫著 太田出版)
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