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お知らせ

2013-12-11
■ 流行語と商標登録出願−報道における商標理解−

1.報道のポイント。
 朝日新聞2013年11月29日夕刊に、その後12月2日朝日新聞デジタルに掲載された、「流行語 次々と商標出願」という記事があります。
 前半は、
 http://digital.asahi.com/articles/TKY201312020295.html?iref=comkiji_redirect
 で読むことができますが、倍返し、じぇじぇじぇ、アベノミクスやDJポリスなどの今年の流行語の出願例、そして過去に登録された流行語の例などが挙げられます。 。
 それに続いて、まず弁理士が登録可能性について述べています。
 それから、商標についての著書があるライターが、出願・登録の商業上の目的などについて論じています。
 今回は、この記事を通じて「商標」の性質を説明することにします。
2.弁理士へのインタビュー部分
 記事は以下の通りです。
 商標に詳しい鈴木康裕弁理士によると、出願は早い者勝ちで、登録までは半年から1年ほどかかるのが一般的。地名など独占が認められないものでない限り、「流行語と関係ない会社が出願したとしても認められる」という。
 まず、一番大事なのが、「地名など独占が認められないものでない限り」です。
 商標法では、まず、先行例とは無関係に、指定商品との関係で識別力がないもの、独占適応性がないものについて登録が認められない旨が定められています。
 識別性がないものとは、指定商品などの「普通名称」、「慣用商標」、「ありふれた氏(姓)、名称」、「きわめて簡単かつありふれた標章のみからなる商標」などが該当します。
 それぞれ、取引上使用しても、商品やサービスが一定の出所から流出していることを認識できないからです。
 独占適応性がないものとは、その商品の産地等又はその役務の提供の場所等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(記述的商標)や、きわめて簡単かつありふれた標章のみからなる商標が該当します。
 何らかの意味で商品・役務の特性を記述する目的で表示する記述的商標は、何人も使用の必要があり、独占を認めるのは妥当でないからです。
 もちろんこのような商標は、必ず一般的に使用されることになるので、その結果上記の識別力も発揮しないのが普通です。
 次に、「出願は早い者勝ち」です。
 上記の識別性、独占適応性を備えていても、自分の出願より先に出願された登録商標と同一又は類似の商標で、指定商品又は役務が同一又は類似の場合は、登録を受けることができません。
 出所の混同が生じますから、当然ですね。
 ただし、商標自体が類似していても、指定商品等が非類似であれば、原則として出所の混同は生じないので、登録を受けることができます。
 「朝日新聞」と「アサヒビール」は商標としては類似しますが、指定商品が似ても似つかないので、登録商標として並存することができます。
 朝日新聞を取ったらアサヒビール券をもらったことがある、などという突っ込みはしないでくださいね。
 そして、「流行語と関係ない会社が出願したとしても認められる」という点も重要です。
 同じ知的財産権でも、特許権や意匠権、あるいは著作権の場合は、原始的には創作者が権利を得ることになります。
 しかし、「ベネッセ」や「レクサス」のような創作商標であっても、商標権において創作の価値は認められません。
 商標権の価値は、商標それ自体にあるのではなく、商品やサービスに付随して使用された結果、商標に蓄積した信用にあるからです。
3.ライターへのインタビュー部分
 記事は以下の通りです。
 「それどんな商品だよ!」など商標についての著書があるライター友利昴さんは、商標登録の狙いを@ブランドとして育てるA自分が独占するB他人が先に登録するのを防ぐため、とりあえず取っておく、の三つに分ける。流行語の申請は、AとBの意味合いが強いケースが多いという。
 「誰もが使う流行語のため、登録しても独占するのは事実上難しく、自分のブランドに育ちにくい。登録されたころには流行が終わっていることも多く、流行語をそのまま申請するのはPR戦略の甘さを感じさせる」と指摘する。
 前半ですが、@、Aと分けてありますが、ブランド構築するためには独占排他権の取得は前提ですね。
 そのため、使用実績がない商標についても、使用意思さえあれば登録を受けることができるようになっています。
 Bもとりあえず、というだけでなく、自己の営業標識の防衛のために積極的に取得しておく必要があります。
 詳しくは
 http://www.choyo-pat.jp/information/topics_1302.html
 ↑をお読みください。
 後半はもっともです。
 「PR戦略の甘さ」というより、「他人のふんどしで相撲を取る」わけですから、あまりお勧めできる話ではありません。
 特許電子図書館の商標検索のページ
 http://www.ipdl.inpit.go.jp/Syouhyou/syouhyou.htm
 で、今年9月10日以降に出願された「おもてなし」を含む商標を閲覧したのですが、商標の構成と指定商品・役務との関係を見ても、あまりエレガントとはいえないものが多いです。
 正直うんざりしました。
 むしろパクリ商標の出願人として公表されてしまうのですから、イメージが傷つくことを心配した方がいいかもしれません。
 ところで、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、一本の記事の中に「出願」と「申請」という言葉が混在しています。
 正しいのはもちろん「出願」です。
 要はインタビュー相手が言ったとおり記事にしたのでしょうが(弁理士部分では「出願」、ライター部分では「申請」となっています)、語感的に違和感を感じなかったのでしょうか。
 全部「申請」で統一されていたのならばともかく、同じ意味で違う言い方があれば、調べてみるのが報道に携わる者として当たり前だと思うんですが。
 記者、デスク、校閲をすべて潜り抜けています。
 それ以前に、少なくとも記者は知的財産権について十分な下調べをせずに取材していることが分かります。
 まあ、この件については、日経ですら間違い続けています。
 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2101O_R20C13A6CC0000/
 一本の記事の中に「商標登録を出願」と「特許申請」が混在している始末です。
 そういう報道に接するたびに、知財の世界はまだまだマイナーなんだな、と感じてしまうのです。
4.パロディ商標
 最後に記事は以下のように締めくくられています。
 一方、技ありのネーミングも。「『マメノミクス』という出願例がある。ミックスナッツなら、名前からどんな商品かも分かる。流行語にほんの少しひねりを加えるだけで、独自の魅力が宿る」
 これがライターへのインタビューからの結論なのか、記者が独自に調査してコメントしたのかが分からない書き方なのは置いといて、上記の商標と「マメノミックス」が、今年8月に株式会社でん六から出願されています。
 指定商品は両方とも「菓子」です。
 これは聞いたとたんにちょっと吹き出してしまいますね。
 流行にエレガントに便乗するなら、「笑える」ように工夫するべきだと思います。
 せっかく出願したものが、お客さんに親しんでもらえなくては、甲斐がないというものです。
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URL http://www.choyo-pat.jp

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