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お知らせ

2013-07-16
■ 特許権の侵害 −パクっていなくても特許権侵害になることがあります。

1.特許権の侵害って何でしょう。
 特許権は「発明」に対して与えられます。
 「権利」ですから、範囲が決まっています。
 特許出願をするときには、願書に「明細書」「特許請求の範囲」「必要な図面」を添付します。
 出願が特許されて権利が発生した際に、その権利範囲を定めるのは、「特許請求の範囲」の記載です。
 特許権者やライセンスを受けた者以外が、そこに記載された発明の構成要件を「すべて」実施すると、特許権の侵害となります。
 その場合、「故意に」とか「知って」などの要件は必要とされません。
 著作権の侵害の場合には、他人の著作物を複製等することが該当しますが、自分が創作した作品がたまたま他人の著作物と同一又は類似であったとしても、他人の著作物を知らないで行った創作であれば、侵害には該当しません。
 著作権の侵害は「模倣」について適用されます。
 しかし、特許権の侵害についてはそうではありません。
 同じ分野で開発競争を行い後手を踏んだ方が、先手を打った他人の特許発明を実施してしまうと、たとえパクっていなくても侵害になるのです。
2.先に特許されたのに・・・・・・。
 昨年の9月20日に、このような事例についての判決が確定しました。
 佐藤食品工業の「餅」が越後製菓の特許を侵害している、とされた件です。
 1審では佐藤食品工業が勝訴したのですが、2審で逆転し、最高裁が上告を棄却しました。
 裁判では、佐藤食品工業が越後製菓の特許を侵害しているか否かの事実認定が主に争われましたが、その点を論じるのは本稿の目的ではありません。
 佐藤食品工業ははたして越後製菓の発明をパクったのかどうか、を考えてみます。
 越後製菓がいつから自己の特許に係る製品を製造販売していたかがわからなかったので、純粋に出願と公開の日程だけから論じることにします。
  越後製菓 佐藤食品工業
出願日 平成14年10月31日 平成15年7月17日
公開日 平成16年5月27日 平成17年2月10日
審査請求日 平成15年8月6日 平成16年5月14日
早期審査請求 なし あり
拒絶査定発送 平成18年1月26日  
拒絶査定不服審判請求 平成18年2月27日  
特許査定(審決) 平成20年3月24日 平成16年10月15日
登録 平成20年4月18日 平成16年11月26日
 確かに佐藤食品工業の出願は越後製菓より後ですが、越後製菓の出願が公開されるより前に出願していますので、特許文献から越後製菓の出願内容を知ることはできませんでした。
 しかも審査請求した時点でも、まだ越後製菓の出願は公開されていなかったので、この段階までに「パクり」を行うことはできなかったはずです。
 そしてこの発明は、早期審査請求をしていたこともあり、出願から1年半も経たずに特許権を得ることができました。
 一方越後製菓の出願は、そもそも佐藤食品工業のように早期審査請求をしていなかった上に、補正、分割、拒絶査定不服審判などがあり、登録されたのは佐藤食品工業より3年以上後となってしまいました。
 ここまでは、佐藤食品工業の「餅」は侵害品ではなかったのですが、この日から侵害となってしまったのです。
3.自社が特許権を持っているのに侵害?
 この件で話が複雑なのは、佐藤食品工業も自社製品についての特許権を持っていたことです。
 ここで理解していなければならないのは、特許を受けられることと、その発明を実施できることとは違う、ということです。
 ある発明が、特許出願前に公然知られていたり、先に出願されていたりした場合、その発明は特許を受けることができません。
 一方、他人の発明を改良したものであっても、その発明自体が出願前に公知になっておらず、先に同様の発明が出願されていなければ、特許を受けることができます。
 しかし、その発明が利用した元の発明に特許権があれば、無断で実施することはその元の発明の特許権の侵害になります。
 
 細かい内容は略しますが、結局佐藤食品工業の特許発明は越後製菓の特許発明を利用するものであったと認められ、越後製菓の方が「先に出願」していたので、越後製菓の方に優位が認められたのです。
4.このようなリスクを避けるために。
 上述のように、特許は「パクり」でなくても「侵害」になってしまうことがあります。
 では、このようなリスクを回避するにはどうすればよいのでしょうか。
 先行技術調査がポイントになります。
 まず、出願前に先行技術を調査して、特許を受けられるかどうか、及び特許を受けられたとして自分で実施できるかどうかを調べておくことが重要です。
 ただしこのケースでは、それだけでは回避できませんでした。
 もうひとつ、ある意味出願前調査以上に大事なのは、審査請求前調査です。
 特許出願は出願後1年半を経過しないと公開されません。つまり出願前調査では、出願から1年半遡った日付以降の調査はできてはいないのです。
 佐藤食品工業は何か社内事情があったのだと思いますが、出願から約1年4ヵ月で審査請求を行っています。
 ここでもう少し審査請求を待って、もう一度調査してから審査請求しても遅くはなかったのではないかと考えます。
 ただ、越後製菓の出願時の書類は他の発明も包含しているなど内容が複雑で、その段階での判断はかなり困難であったであろうとも思われます。
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