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お知らせ

2013-05-10
■ 自分の商号や商品・サービス名が他人にネット上で無断使用された場合の対応について

   グーグル株式会社にAdWords、ヤフー株式会社にスポンサードサーチという広告コンテンツがあります。
   特定のキーワードが検索されたときに、検索結果の近くに自社サイトへのリンクを表示するものです。
   例えば「赤坂 ワイン」と検索窓に入力すると、赤坂のワインバーの公式サイト、食べログやぐるなびなどの検索結果の上や脇に、優先的に飲食店や酒販店へのリンクが表示されます。

   これ自体は広告活動として何ら問題のないものですが、時折このキーワードに他人の商号、商品名、サービス名すなわち商標を使用する例があります。
   これは他人の商標のもつ信用にただ乗りする行為であり、使用された方が自分の商品等を検索したお客様を同業他社に不当に奪われかねないという問題が生じます。

   このような場合に、どのように対応したらよいのでしょうか。

   このような広告のリンク先のサイトには、検索キーワードに使用した言葉が使用されていない場合がほとんどです。
   そのような行為が商標法に違反する可能性が高いことを認識しているものと推認せざるをえません。

   また、自己の商号、商品名、サービス名を登録していない場合には、そもそも商標法の適用を受けることができません。

   検索サイトの責任については、2012年2月14日の知財高裁判決(平成22年(ネ)第10076号 )で以下のように判示されています(下線、太字は筆者)。

   本件における被告サイトのように,ウェブサイトにおいて複数の出店者が各々のウェブページ(出店ページ)を開設してその出店ページ上の店舗(仮想店舗)で商品を展示し,これを閲覧した購入者が所定の手続を経て出店者から商品を購入することができる場合において,上記ウェブページに展示された商品が第三者の商標権を侵害しているときは,商標権者は,直接に上記展示を行っている出店者に対し,商標権侵害を理由に,ウェブページからの削除等の差止請求と損害賠償請求をすることができることは明らかであるが,そのほかに,ウェブページの運営者が,単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず,運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い,出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって,その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは,その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り,上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し,商標権侵害を理由に,出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができると解するのが相当である。
   (中略)
   商標権を侵害する行為は商標法違反として刑罰法規にも触れる犯罪行為であり,ウェブページの運営者であっても,出店者による出品が第三者の商標権を侵害するものであることを具体的に認識,認容するに至ったときは,同法違反の幇助犯となる可能性があること,(4)ウェブページの運営者は,出店者との間で出店契約を締結していて,上記ウェブページの運営により,出店料やシステム利用料という営業上の利益を得ているものであること,(5)さらにウェブページの運営者は,商標権侵害行為の存在を認識できたときは,出店者との契約により,コンテンツの削除,出店停止等の結果回避措置を執ることができること等の事情があり,これらを併せ考えれば,ウェブページの運営者は,商標権者等から商標法違反の指摘を受けたときは,出店者に対しその意見を聴くなどして,その侵害の有無を速やかに調査すべきであり,これを履行している限りは,商標権侵害を理由として差止めや損害賠償の責任を負うことはないが,これを怠ったときは,出店者と同様,これらの責任を負うものと解されるからである。
(全文は、http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120216101709.pdf にて閲覧できます。)

   これに従えば、誘導されたサイトに商標法上の侵害行為がなければ、検索サイトの責任を問うのが困難です。

   実は、2010年3月23日、欧州司法裁判所では、さらに突っ込んだ判断がなされております(下線は筆者)。

  • @ 商標ハーモ指令(中略)は,当該広告につき,そこで参照された商品又は役務が商標権者またはそれに経済的に関連する事業に由来するのか,それとも反対に,第三者に由来するのかを,平均的なインターネットユーザーが確認できない場合,または確認 することに困難がともなう場合において,広告主が商標権者の同意なくインターネット参照サービスに関連して選択したその商標と同一のキーワードに基づいて,商標登録された商品又は役務と同一の商品又は役務を広告主が広告することを阻止する権利を商標権者が有するということを意味するものとして解されなければならない。
  • A キーワードとして商標と同一の標識を蓄積し,そのキーワードに基づいて広告の表示を編成するインターネット参照サービスのプロバイダーは,(中略)標識の使用はしていない。
  • B 電子商取引指令(中略)の第14 条は,インターネット参照サービスのプロバイダーが蓄積データに関する知識や管理について積極的な役割を果たしていない場合に適用されるものと解されなければならない。もしそのような役割を果たしていないのであれば,データや広告主の活動の違法性に関する知識を得たとき迅速にそのデータの除去またはデータへのアクセスを無効にすることを怠った場合を除き,当該プロバイダーが広告主の要求に応じて蓄積したデータについて責任を問われることはない。

   日本の商標法でも「広告主が商標権者の同意なくインターネット参照サービスに関連して選択したその商標と同一のキーワードに基づいて、商標登録された商品又は役務と同一の商品又は役務を広告主が広告すること」を商標権の侵害として規定してくれれば話は早いのですが、残念ながら今のところすぐにそのような改正が行われる予定はありません。

   では、そのような場合商標登録を行っていることに意味はないのでしょうか。
   そんなことはありません。

   商標登録が認められたということは、原則としてその商標に事業主の信用が蓄積していると判断されたということです。
   検索サイトに責任を問うても削除の動きは鈍いので、キーワードを「買っている」広告主自体に、自己の商標権を根拠として警告し、使用の取り止めを迫るのが小職の経験では一番効果的でした。

   その際には商標法だけでなく不正競争防止法も絡めていきます。

   当事務所では、そのような場合の対応について、個別具体的に解決する手段を丁寧にアドバイスいたします。
   まずはお気軽に、「お問合せ」ページまたはお電話でご連絡ください。

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